台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肉豚卸売価格が上昇


「春節」時に匹敵する高水準を記録

 4月下旬以降、肉豚卸売価格が上昇傾向を示している。全国22ヵ所の肉豚卸売
市場における6月上旬の取引価格は6千元台後半〜7千元台前半(生体100kg当たり)
となっており、年間を通して最も需要が盛り上がる2月上旬の春節「旧正月」に
匹敵する水準に達している。

 豚価が上昇した要因として、6月18日の「端午節」を控え、需要が高まりを見
せ始めていることが挙げられる(台湾では「端午節」に豚肉を使った「ちまき」
が多く食される習慣がある)。また、4月に屏東縣、高雄縣および台南縣で口蹄
疫が発生したとの報道から、消費者の間で豚肉の供給が減少するのではないかと
の憶測が広がったことも要因の1つに挙げられる。

 豚の総飼養頭数が約654万頭(98年11月末調査)に絞り込まれた現在の台湾で
は、需要動向の変化が直ちに豚価に影響を及ぼす傾向は一層強まっているものと
思われる。

◇図:肉豚卸売価格の推移◇


夏場には供給増の予測も

 政府は、98年7〜9月に大幅に豚価が上昇したことから養豚農家の増頭意欲が刺
激され、当時種付けされたものが今年の夏場に出荷され始めるとのシナリオを描
いている。したがって、現在の肉豚の不足傾向は夏場以降緩和に向かい、肉豚卸
売価格に大きく影響する可能性を示唆している。

 こうしたことから、政府は、今後数年間は肉豚の仕向け先は国内市場に限られ
るとした上で、価格の大きな変動要因となる豚価上昇を見込んでの売り惜しみや
飼養規模拡大を慎むよう養豚農家に注意を促している。


口蹄疫再発防止の徹底を喚起

 各地での口蹄疫の再発や発病豚の不法廃棄などが止まらないため、政府は養豚
農家に対して次の措置を徹底するように呼びかけている。

 @ 養豚場の自主防疫の強化

 飼養期間中、豚の移動を避け、人、車両、器具、飼料などの養豚場への出入り
のチェック、消毒などの自主防疫措置を講じる。

 A ワクチン接種の徹底

 種豚は半年ごとに補強接種を行う。子豚は8〜14週齢の間に2回接種する。また、
飼養期間が半年以上の肉豚にも1回補強接種を行う。

 B 発病発見後の迅速な通報

 口蹄疫の発生または口蹄疫と思われる症状を発見した際には、直ちに管轄の動
物防疫機関に届け出る。

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