米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肥育豚価格の上昇と生産コストの低下で、養豚経営体の収支に改善の兆し


肥育豚価格、ゆるやかに回復に向かう

 99年5月の肥育豚の全米平均取引価格(生体重量換算:推定値)は、前月より
7.1ドル上昇し、前年同月比14.9%安の38.8ドル/100ポンド(約105円/kg:1ドル
=123円)となった。肥育豚価格は、生産増加を受けて記録的な水準にまで暴落
したが、98年12月を底に上昇に転じ、99年に入り徐々に回復している。このよう
な価格回復の要因としては、@価格の安い豚肉に量販店の特売が集中したことに
よる需要の増加、A季節的な生産減少期(成績の悪化する夏場に種付けされた豚
の出荷期)に入っての出荷量の減少、B記録的な暴落に対する自律的な反発など
が挙げられる。

◇図:肥育豚価格◇


養豚経営体の収支、19ヵ月ぶりに黒字に転じる

 米農務省(USDA)の推計によると、99年5月の北部中央地区における養豚経営
体(一貫生産)の収支は、肥育豚100ポンド当たり2.23ドル(約6円/kg)と97年
10月以来19ヵ月ぶりの黒字となった。記録的な肥育豚価格の低迷によって、生産
コスト以下での肥育豚販売を長く続けてきた養豚経営も、その収支が回復に向か
う兆しが出てきている。肥育豚価格は回復傾向にあるとはいえ、依然前年を下回
る水準で推移しているが、トウモロコシなど飼料穀物価格の低下により生産コス
トが減少し、損益分岐点が前年に比べて15%程度低下したことが黒字転換の要因
となっている。

◇図:養豚経営体(一貫経営)の損益分岐点とマージンの推移◇


肥育豚価格は、今後40ドル前後で推移する見込み

 USDAの5月時点の需給予測によると、豚肉生産量(枝肉換算ベース)は99年
第2四半期には前年同期比3.9%増の208万7千トンと依然高水準にあるものの、前
四半期からは12万トン減少すると予測している。第3四半期には、前年並みに落
ち着き、第4四半期からは98年末からの繁殖豚飼養頭数減少の影響で、豚肉生産
量は前年同期比9.3%減と本格的な生産減少が始まるとしている。

 肥育豚価格は99年後半には39〜43ドル/100ポンド(約106〜117円/kg)で、
2000年には40〜43ドル/100ポンド(約108〜117円/kg)で推移すると予測され
ており、穀物価格の上昇がなければ、養豚経営で収益を得られる状況まで本格
的に回復するものとみられる。

◇図:豚肉の四半期別生産量◇

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