◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、3月末のバターの民間在庫量は前年同月比92.5% 増の4万9千トンと前年の2倍近い水準になった。バター在庫量は98年に入り生乳 生産の伸び悩みによりバター生産の減少に拍車がかかったことから、98年4月以 降前年を下回って推移していた。しかし、98年10月には7ヵ月ぶりに前年を上回 り、99年に入って急増している。 ◇図:バターの民間在庫量◇
バターの生産量は、健康志向に伴う消費の低迷により、93年以降減少を続けて いる。これに伴い生産設備の合理化が加速され、98年にはバターを生産する工場 数は90年の6割以下に減少した。しかし、98年末からの記録的な生乳生産の増加 を受けて、バターの生産も増加に転じており、99年1〜4月のバター生産量は、前 年同期比4.1%増の20万6千トンに達した。 消費が拡大しているチーズと比較してバター生産における製造マージンは相対 的に低いと言われている。そのような状況の中で、バターや脱脂粉乳の大半は協 同組合系工場により生産されていることからも分かる通り、その生産は従前から 余乳処理的な側面を持っている。このため、バター生産の増加は一時的なもので あり、生乳生産の伸びが鈍化すればバター生産も再び減少傾向に戻るとみられる。 ◇図:バター生産量の増減率と工場数の推移◇
バターの生産を州別に見ると、ウィスコンシンが最大の生産量を誇り全米生産 量の28%を占めている。カリフォルニアを加えた上位2州で全体の約2分の1を占 め、上位5州で全体7割を占めており、生乳生産と比較すると集中度は高い。これ らの州では、生乳生産の伸びに伴ってバター生産も増加しており、特に、近隣諸 州の生乳生産が拡大しているペンシルベニアや飲用需要の少ないワシントン州で バターの生産が大幅に増加している。 バター生産の州別動向
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