農産物の遺伝子組み換え技術は、21世紀の発展途上国を中心とした人口増によ り予想される食料不足に対処するため、食料増産の切り札として大きな注目を集 めている。一方、EU加盟国などには、食品の安全性および生態系に及ぼす影響な どの観点から遺伝子組み換え農産物に対し根強い抵抗感がある。 このような中、5月に米国コーネル大学の研究グループは、Btコーン(遺伝子 組み換えトウモロコシの1種で、害虫に対し耐性を有する。商用化に成功した遺 伝子組み換え農産物の代表例)に関する研究報告を発表した。これによれば、Bt コーンの花粉が付着した葉を食べたチョウの幼虫が死亡したり、または成長が阻 害されるなどの影響が確認されたとしている。この発表を受けて、EUでは遺伝子 組み換え食品に対する規制を強化すべきとの意見が一層強まっている。 このような状況から、6月にドイツのケルンで開催される先進国首脳会議で遺 伝子組み換え農産物をめぐる問題が議題として取り上げられることとなった。
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