合弁事業に取り組むタイ乳業界


業界第2位のダッチ・ミル社、合弁事業を展開

 タイ乳業界では、販売不振による乳製品価格の引き下げ競争が恒常化している。
また、乳業各社は、経済危機の影響で資金が不足するなどの難しい局面に遭遇し
ている。

 こうした中、飲用牛乳、乳飲料などの販売シェアが業界第2位のダッチ・ミル
社は、付加価値を高めた乳製品市場を開拓するためにデーリー・プラス社を設立
するとともに、乳業工場の増設などで取扱高の維持を図ってきたが、その販売シ
ェアは低下しつつある。

 このため、ダッチ・ミル社は、デーリー・プラス社の先端製造システムを有効
に活用して、将来に向けた新乳製品の市場開拓を合弁事業により有利に進めると
ともに、経営合理化を一層推し進めるために、多くの企業に合弁を持ちかけてい
た。この中でダッチ・ミル社は、第3位のネスレ社を最も合弁の可能性の高い企
業として選定し、積極的に働きかけている。


合弁効果でシェア回復を図る

 業界では、ダッチ・ミルグループの広報および販売促進を一手に引き受けてい
る関連企業がネスレ社との合弁計画を否定しなかったことからその可能性は高い
としている。また、業界では、この合弁が成功すると第1位のフォア・モースト
社に直接に影響するとみており、その動向を注目している。ダッチ・ミル社は、
合弁事業で生産した新製品については、10代の若者をターゲットにしている。

 一方、同社は、低温殺菌牛乳、ドリンクヨーグルトなどの販売シェア回復を図
るために、販売促進費として1億バーツ(3億4千万円:1バーツ=約3.4円)を費
やした結果、99年第1四半期の低温殺菌牛乳の販売高は、前年同期に比べ2倍の伸
びとなった。しかし、同社のチルド乳酸菌飲料の販売シェアは74%程度を維持し
安定しているが、今後も成長が見込まれるUHT乳酸菌飲料(室温流通可能)では
60%から45%に低下している。

 今後は、広報宣伝費を増額することでシェアの回復を図るとともに、合弁を前
提として販売戦略の見直しを行うとしている。なお、UHT乳酸菌飲料の他社のシ
ェアは、アイビ社およびネスレ社がそれぞれ22%、17%となっている。


トップ3社で飲用牛乳等販売総額の45%を占める

 業界の発表によると、飲用牛乳、乳飲料など全体の販売総額は260億バーツと
見積もられ、そのうち、第1位のフォア・モースト社の販売総額のシェアは19.6%、
第2位のダッチ・ミル社は同13.6%、第3位のネスレ社は同11.7%となっている。
また、種類別では、高温殺菌牛乳の市場全体に占めるシェアは昨年の44.2%から
40.2%へ減少し、対照的に乳酸菌飲料および豆乳は29.5%、11.7%から32.9%、
13.4%にそれぞれ拡大している。

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