◇絵でみる需給動向◇
豪州統計局(ABS)によると、2001年5月の牛肉生産量は、前年同月比7.0% 増の19万4,300トンと、過去最高であった2001年3月の18万6,160トンを抜いて、 月間牛肉生産量の記録を更新した。2001年1〜5月の牛肉生産量は、前年同 期比5.1%増となっており、これもまた過去最高となっている。 また、と畜頭数についても、2001年5月は前年同月比5.6%増の74万506頭と 月間のと畜頭数としては1991年5月を上回り過去最高となった。2001年1〜5 月のと畜頭数を見ると前年同期比3.9%増となっており、牛群の再構築によりと 畜が抑制されていた前年同期と比べてと畜が進んでいる。 ◇図:牛肉生産量とと畜頭数の推移(1−5月)◇
豪州食肉生産者事業団(MLA)は、牛肉生産量が増加している要因として、 牛群の再構築が終了したことと肉牛の主要産地であるクインズランド州のと畜の 処理能力が向上したことを挙げている。また、肉牛1頭当たりの枝肉重量の増加 も牛肉生産を増加させる要因となっており、2001年1〜5月の平均枝肉重量は1 頭当たり263.4キログラムと前年同期を1.2%上回っている。さらに、2000/01 年度の肉牛価格が記録的な高値を示していることも牛肉生産増加の要因であり、 このことが生産者の肉牛出荷を一層推し進める誘因となったとの見方を示してい る。 ◇図:肉牛価格の推移(枝肉ベース)◇
このような中、豪州農業資源経済局(ABARE)が6月末に発表した短中期の需 給予測によると、生産量、と畜頭数ともに2000/01年度、2001/02年度の2年 連続で増加すると予測している。これは、海外市場において牛肉需要が強い上に 豪ドル安の為替相場で輸出が促進され、肉牛価格の高値が維持されるため、出荷 頭数が増加するとの予測に基づくものである。 ABAREが前回(3月末)に発表した需給予測では、2000/01年度の牛肉生産量 とと畜頭数は、牛群の再構築のために減少すると予測していた。しかし、肉牛・ 牛肉産業における良好な経営環境が生産者の生産・出荷意欲を刺激していること から、今回の調査ではこれを上方修正している。
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