米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○上半期の牛肉生産が食肉総生産量を引き下げ


豚肉と鶏肉微増の中、牛肉は5%減

 米農務省(USDA)によると、2001年上半期(1〜6月)の食肉総生産量(枝
肉ベース)は、前年同期比1.2%減の1,845万9千トンとなった。内訳は、豚肉
が0.5%増、鶏肉が1.0%増と、いずれもわずかな増加を示したのに対し、牛肉
は574万9千トンで5.1%の減少となった。

 米国は95〜96年度ころから、多くの地域で厳しい干ばつが発生するなど乾燥傾
向にある。昨年から今年にかけては、夏に太平洋岸北西部(コロンビア川の北側
からロッキー山脈西側に広がる地域)などを中心とする干ばつが発生し、飼料供
給がひっ迫していること、また、冬には92/93年以来これを上回るといわれる寒
波などで、例年以上に補助飼料を必要としたことなどから、生体価格が前年を上
回って推移しているにもかかわらず、経産牛のと畜頭数が前年同期を上回ってお
り、雌牛の保留が進んでいない状況にある。

◇図:タイプ別と畜頭数の増減率(2001年/2000年:上半期)◇


フィードロット頭数は4ヵ月ぶりに前月比増

 こうした中、今年6月1日現在における1千頭規模以上のフィードロット飼養
頭数(全国)は、前年同月比2.5%増の1,124万頭となった。フィードロット飼
養頭数は、肥育素牛の供給減により3月から各月1日現在、3ヵ月連続で前月割
れとなっていたが、中西部や南部で干ばつが発生し、経産牛のフィードロット搬
入が増加したことや、3〜5月のフィードロット搬入減が逆に刺激剤となったこ
となどから、5月の1ヵ月間におけるフィードロット搬入頭数は、前月比52.6
%増の236万7千頭となった。なお、1頭当たりの平均枝肉重量は、2000年12月
以降連続して前年を下回っており、このことが牛肉減産の一因ともなっている。


USDA、今年終盤の肥育牛相場は堅調と予測

 今年上半期の経産牛と畜頭数は、前年同期比5.8%増の288万2千頭となった。
USDAは、年内の天候が例年並みであれば、下半期の経産牛と畜は大幅に減少し、
通年で前年割れと推測しているが、今後、干ばつの発生などがあった場合、経産
牛など雌牛のと畜が伸び、飼養頭数の回復がさらに遅れる事態にもなりかねない。

 毎年6月前後は、時期的にと畜頭数と枝肉重量が増加する一方で、気候的に需
要が落ちる季節であることから、肥育牛価格が下落する傾向にある。2000年11月
以降、供給減などを反映して、肥育牛価格は前年を上回って推移しているものの、
今年6月の肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生体重量1,100〜1,300ポンド(約
500〜590s)、ネブラスカ州)の100ポンド(約45s)当たりの単価は74.25ド
ル(約9,356円:1ドル=126円)と、2月以降連続して下落している。ある業界
関係者はこうした事態について、フィードロット生産者が、荷をさばく上でやむ
なく販売価格の引き下げに応じているとしている。

 USDAは、今年秋以降、フィードロット頭数が前年同期を下回り始め、第4四半
期(10〜12月)には肥育牛相場が堅調になると予測しているが、現在は供給にあ
る程度のゆとりがあるため、多くのアナリストは、今後夏場にかけて70ドル台前
半まで価格が下落するものと予測している。

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