世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○GM作物問題に関連してブラジル産穀物の輸出増加



GM作物への関心が高いEU、アジア

 昨年、米国に端を発した未承認の遺伝子遺伝子組み換え(GM)トウモロコシで
あるスターリンクの混入問題など、GM作物への関心の高まりが、トウモロコシな
どの国際貿易に影響を及ぼしている。たとえば日本における食品用トウモロコシ
輸入についてみると、これまでほぼ全量を占めていた米国産がシェアの一部を失
い、中国、ブラジルなど他の国からの輸入が増加している。

 GM作物の安全性に対する関心は、EU、日本、韓国などで高いが、これから世界
貿易機関への加入が見込まれている中国でも6月、GM作物の輸入に関する新たな
規制措置を導入する動きが見られる。


記録的な増産と非GM作物需要がトウモロコシ輸出のカギ

 こうした中、2001年に入ってからブラジル産のトウモロコシ、大豆の輸出が拡
大している。

 ブラジルのトウモロコシ生産量は、世界全体の5〜6%を占めるが、同国のト
ウモロコシ需給は、国内での養鶏、養豚産業の発展に伴う需要拡大を背景として、
近年の約20年間は純輸入国となっていた。ところが今年は、ブラジルがトウモロ
コシの純輸出国になるとみられている。

 国家食料供給公社(CONAB)の穀物生産予測(2001年5月14日現在)によると、
2000/01年度(2001年2月〜2002年1月)の同国のトウモロコシ生産は、3,869
万トン(前年度比22.3%増)と大幅に増加すると予測されている。これは、生産
の中心となる第1期収穫(2〜5月収穫)が、作付面積および単収の増加により
3,060万トン(同28.0%増)と大幅増加したのに加え、第2期収穫(7〜8月収
穫)も一部地域で降霜や干ばつといった天候不順にもかかわらず前年を上回る収
穫が見込まれるためである。

 2001年1〜4月のブラジル産トウモロコシ輸出量は、81万9千トンと前年同期
実績の約400倍となっている。主な輸出相手先は、スペインが全輸出量の3分の
1に相当する27万3千トン、韓国が7万8千トン、日本が4万3千トンとなって
いる。このような輸出急増の背景には、

@国産トウモロコシの供給過剰

A国際市場における非GMトウモロコシ需要の高まり(ブラジルでは遺伝子組み換
 え作物の商品化を承認していない)

B自国通貨レアルの為替レートの安値推移

C国産トウモロコシの生産者価格が低迷

 などが挙げられる。

 ブラジルの大手調査会社では、トウモロコシの主要積出港であるパラナグア港
 (パラナ州)で船積み数量が6月12日現在約160万トンになっていることから、
 2001年のトウモロコシ輸出量は、約260万トンに達すると予測している。

◇図:ブラジルのトウモロコシ需給◇


EUを中心に大豆などの輸出増加を予測

 また、CONABの穀物生産予測(2001年5月14日現在)によると、2000/01年度
(2001年2月〜2002年1月)の大豆生産は、3,597万トン(前年度比11.2%増)
と予測されている。

 また、2001年1〜4月の輸出については、大豆が328万トン(前年同期比45.2
%増)、大豆かすが302万トン(同30.8%増)といずれも大幅に増加している。
これは、主要輸出先であるEUが、牛海綿状脳症(BSE)問題の影響で2001年1月
から肉骨粉等の飼料利用禁止措置をとったことから、家畜飼料のたんぱく源とし
て大豆かす等に対する代替需要が強まったためである。CONABでは、2001年の輸
出量を、大豆が1,250万トン(前年比8.5%増)、大豆かすが1,050万トン(同12.
0%増)になると予測している。

◇図:ブラジルの大豆、大豆かす生産量および輸出量◇

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