◇絵でみる需給動向◇
EUは7月13日、今年5月に続く脱脂粉乳輸出補助金の引き下げを実施した。今 回の引き下げにより、輸出補助金額はゼロとなり、EUの輸出補助金は大きな変革 期を迎えることとなった。脱脂粉乳の輸出補助金は、世界的な需要の回復を受け て99年10月から引き下げが行われ、その後、ほぼ毎月のペースで引き下げが続い ていた。 EUの脱脂粉乳の需給動向は、生産の減少と需要の高まりからひっ迫傾向にあり、 価格も堅調に推移している。このため、介入在庫量も2000年11月以降、ゼロが続 いている。EU委員会では、農業予算が膨らむ中での輸出補助金の引き下げは、牛 海綿状脳症(BSE)問題など新たな対応への予算確保につながるとしている。 ◇図:脱脂粉乳の介入在庫量と輸出補助金の推移◇
一方、バターについては、例年通り夏期の余剰と冬期の不足を調整する目的の 民間在庫補助制度(APS)が3月15日から開始されたことで、余剰バターの多く がAPSの保管対象となりつつあることから、EUの需給動向は改善に向かっている。 バター価格の指標の1つとなるオランダの市場価格は、2001年6月にキロ当たり 7.35ギルダー(約360円:1ギルダー=49円)となり、前年並みの回復をみせて いる。米国などの生産が減少する中で国際価格は上向いており、関係者には安堵 感が漂っている。 ◇図:バターの民間在庫と価格の推移◇
域内のバター価格が上昇に転じたことで、EU加盟国の多くでは、介入買入れの 発動基準である介入価格の92%を上回り、入札による介入買入れは減少している。 EUの介入在庫量は、消費低迷に伴う需給バランスの崩れから99年中旬以降に急増 し、2000年5月には8万4千トンを記録している。その後、減少傾向で推移して いるが、2001年6月の在庫量は5万5千トンと、依然として高水準が続いている。 今後の在庫量の見通しについては、域内の生産が減少し価格が上昇傾向にあるこ とから、当面は減少に向かうとの見方が強まっている。 ◇図:EUのバター介入在庫量◇
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