◇絵でみる需給動向◇
米国乳製品輸出協会(USDEC)によると、2001年第1四半期(1〜3月)の牛 乳・乳製品輸出は、堅調な経済復興を続けるメキシコなど主要市場からの引き合 いが強いことなどを背景に、脱脂粉乳などを除く各品目とも前年同期比4〜38% 増と好調に推移している。 ◇図:牛乳・乳製品輸出の増減率(2001年/2000年:第1四半期)◇ 今年第1四半期におけるメキシコ向けの牛乳・乳製品輸出は、チーズが前年同 期比3.5倍の4,523トン、ホエイ製品が52%増、乳糖が31%増、飲用牛乳および クリームが40%増、ヨーグルトが41%増など、いずれも大幅な伸びを見せている。 また、USDECでは、日本をはじめアジアにおけるホエイ製品などの需要促進活 動が、台湾や東南アジア向けの輸出も押し上げたと見ている。この結果、ホエイ 製品の船積みは、台湾向けが前年同期比99%増、東南アジア向けが21%増となっ ているほか、東南アジア向けの乳糖も65%の増加となっている。 一方、ホエイ製品との代替や乳製品輸出奨励計画(DEIP)に基づく輸出補助金 交付の見合わせなどから、脱脂粉乳は14,688トンと、前年同期比54.2%と大幅 な減少となった。
米国の生乳生産量は、経産牛頭数の減少や寒波による影響などで、昨年12月以 来前年を下回って推移している。今年5月の生産は、前年比では1.1%減となっ ているが、前月比では3.8%増の663万4千トン(推定値)と、2000年5月以来 1年ぶりに600万トン台後半まで回復した。しかし、経産牛1頭当たり乳量の回 復が遅れていることなどから、米農務省(USDA)では、完全な生乳生産の回復に はもう少し期間を要するものとみている。USDAは、生乳生産が前年を上回るのは 秋ごろで、2001年は通年で前年比1%減前後となるものと予測している。
中国の世界貿易機関(WTO)加盟については、99年11月の米中2国間協議の合 意が大きな注目を浴びたものの、その後のWTO中国加盟作業部会において、農業 補助金の割合などをめぐって中国と欧米諸国などが対立、多国間協議はたびたび 延期される事態が続いていた。 こうした中の今年6月9日、米中は残された問題について交渉し、「完全な一 致」に達したと発表した。同20日には、EUと中国の合意も発表され、中国のWTO への年内加盟の可能性も高いといわれている。 中国では、経済の発展とともに牛乳・乳製品の消費量が増加傾向にある。中国 では以前、乳製品は子どもや病人、老人などの栄養補給食品とのイメージが強か ったものの、最近では、都市部市民の食生活の必需品といわれるほどになってい る。この結果、その販売量は常に輸入品が国産品を上回っており、ヨーグルトな どは、店頭で売られている商品の約9割が輸入品であるともいわれている。98年 からは、北京市で学校給食用牛乳制度が導入され、2001年には、北京市の牛乳消 費量は、5年前に比べ倍増しているとされる。 現在、13億人市場を抱える中国は、年率7〜8%前後という高い割合で経済成 長を続けており、牛乳・乳製品の消費も、今後とも高い伸びを示すと考えられて いる。このため、米国の業界では、中国のWTO加盟後の輸出増加の可能性に、高 い関心を寄せている。
元のページに戻る