◇絵でみる需給動向◇
EU統計局は、2000年12月時点のEU加盟国における豚の飼養頭数調査結果を発 表した。これによると域内の飼養頭数は、イギリス、オランダなど主要生産国で 頭数減少が続いたことから、前年同期比1.1%減の1億2,288万6千頭となった。 域内の豚飼養頭数は、96年以降、増加傾向で推移してきたが、98年末から99年初 にかけての記録的な豚価低迷による養豚農家戸数の減少や経営規模の縮小、また、 畜産環境規制の強化などにより、99年から減少に転じている。EU委員会では、豚 肉価格の上昇など、生産が刺激されることから、2001年の飼養頭数については増 加を予測している。 ◇図:EU15ヵ国の豚飼養頭数(各年12月時点)◇
国別の飼養動向を見ると、多くの加盟国で飼養頭数が減少する中で、スペイン、 デンマーク、ルクセンブルクは増加となった。この背景には、スペインでの豚肉 需要拡大による生体輸入の増加や、好調な輸出に支えられたデンマークでの規模 拡大などが挙げられる。 一方、イギリスでは、2000年8月に発生した豚コレラ問題やポンド高で急増す る豚肉輸入により、飼養頭数は前年比で15%を超える減少となっており、加盟国 中で最大の落ち込みを見せた。今年に入り発生した口蹄疫問題など、度重なる疾 病の発生などにより国内の養豚産業は経営規模の縮小を余儀なくされており、減 少をくい止める糸口は見えていない。 EU主要生産国の豚飼養頭数(2000年12月) 資料:EU統計局 注:数値は暫定値
域内の豚肉価格は、近年の価格水準から見れば比較的堅調な推移をみせている。 2001年6月のEU豚枝肉平均販売価格は、100s当たり176.8ユーロ(約1万8,900 円:1ユーロ=107円)と、99年9月以来、22ヵ月連続して前年同月比で2ケタ の増加となった。今年4月以降、イギリスを除く口蹄疫発生国からの豚肉輸出が 解禁となったため、域内市場への供給量が増加し、価格は落ち着きを見せている。 しかし、主要豚肉生産国であるスペインやドイツで起きた豚コレラの発生や、長 引くイギリスの口蹄疫問題など、豚肉生産に対する不安定要素は残されており、 BSE問題の再燃により需要が強まったこともあり、今後の価格は引き続き堅調に 推移するとの見方が強まっている。 ◇図:主要豚肉生産国における枝肉価格の推移◇
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