◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が四半期ごとに発表する豚の飼養動向調査によると、2001 年第2四半期(6月1日現在)の豚の総飼養頭数は、前年同期(5,911万7千頭) と比べほぼ同水準(99.9%)の5,908万1千頭となった。これを前回調査(3月 1日現在)の5,852万4千頭と比べると1%増となり、2000年第3四半期以降3 期ぶりの増加となった。 総飼養頭数は、87年から増加傾向で推移してきたが、95年以降は、飼料価格の 値上がりの影響から減少に転じた。その後、飼料価格の下落や台湾における口蹄 疫発生による輸出意欲の高まりに伴い、97年後半から増加に転じたものの、98年 秋には肥育豚価格の暴落もあり、99年第3四半期以降は小幅な増減を繰り返して いる。 ◇図:豚飼養頭数の推移◇ 区分別の飼養動向を見ると、雄を含む繁殖豚が前年同期比0.6%減の619万8千 頭、肥育豚が前年同水準の5,288万3千頭となった。この背景には、98年秋の価 格暴落の教訓から、増頭に慎重な経営が多いことがあるといわれる。また、厳冬 による出荷の遅れなどから、3月の前回調査に比べると、繁殖豚は0.7%の減と なっているものの、肥育豚については1.2%とわずかに増加している。
今回の調査結果によると、今年3〜5月の豚生産頭数は2,554万4千頭、分娩 頭数は287万8千頭と、前年同期とほぼ同じであった。繁殖豚頭数がわずかに減 少したにもかかわらず、豚の生産頭数が前年とほぼ同水準にとどまったのは、1 頭当たりの産子数が、平均で前年同期比0.2%増の8.88頭となったためと考えら れる。1頭当たりの産子数は、経営効率などの点から、大規模経営ほど大きくな る傾向があり、99頭規模以下の経営が7.60頭であるのに対し、5千頭規模以上 では9.00頭となっている。 ◇図:飼養頭数規模別繁殖豚1頭当たりの産子数◇
肥育豚価格は、高値で推移する牛肉からのシフトなどによる豚肉の需要増と寒 波に伴う供給減などから、3月に急騰して以来前年をほぼ上回り、依然強含みで 推移している。また、全米取引シェア第2位のシカゴマーカンタイル取引所では、 豚の飼養動向調査が発表された翌取引日、繁殖豚頭数の微減に豚バラ肉の先物価 格が敏感に反応し、取引開始から急騰した。 今年第1四半期(3月1日現在)の調査では、繁殖豚、肥育豚ともに前年を上 回っていることなどから、USDAは豚肉生産が増加し、肥育豚価格は値下がりする と予測していた。しかし、第2四半期は、豚肉生産量が2%近く増加したにもか かわらず、日本向けなどをはじめとする豚肉の輸出増と、EU地域での口蹄疫発生 に伴う同地域からの食肉輸入禁止に伴う輸入減により、国内供給量が減少したた め、肥育豚価格は、生体100ポンド(約45〓)当たり平均50ドル以上(1ドル= 126円)で推移した。USDAでは、第3四半期以降、供給増により豚価は40ドル前 後まで下落すると予測している。
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