家畜伝染病をめぐるEUの動き


口蹄疫に対するEUの規制措置、イギリスを除き完全解除

 オランダ農業自然管理漁業省は6月25日、同国内における口蹄疫の終息を宣言
するとともに、わずかに残っていた口蹄疫に関するEUの規制措置についても、翌
26日から解除されることを発表した。オランダでは、3月21日に最初の口蹄疫発
生が確認されて以来、これまでに計26件の発生が確認されているが、4月23日以
降は新たな発生は確認されていなかった。このため、監視区域の解除など、口蹄
疫に対する規制措置も徐々に解除されていた。今回解除された規制措置は、@口
蹄疫に感受性のあるすべての動物およびこれら動物から生産された畜産物につい
て、ウーネ周辺の監視区域からの移出禁止、A羊およびヤギの国外への輸出禁止、
の2つである。これにより、既に規制措置のすべてが解除されているフランス
(4月13日)、アイルランド(4月20日)、北アイルランド(6月7日)を含め
て、EUとしての口蹄疫に関する規制措置は、いまだに口蹄疫の発生が続いている
イギリス(グレートブリテン)を除き完全に解除された。なお、アイルランド、
北アイルランドについては、EUの規制措置解除後も、グレートブリテンからの侵
入を防止するため、独自の防疫対策を実施している。

いまだ口蹄疫の散発が続くイギリス

 今年2月の口蹄疫発生から5ヵ月が経過したイギリス(グレートブリテン)で
は、いまだ口蹄疫の発生が続いている。1日当たりの発生件数は、3月下旬のピ
ーク時と比較して大幅に減少したものの、7月(14日現在)では、1日当たり平
均3件の発生となっている。イギリス環境・食料・農村地域省(旧農漁食料省)
の発表によると、7月14日までの口蹄疫発生件数は1,852件に上り、処分された
家畜は3,548,000頭(牛:558,000頭、豚:131,000頭、羊:2,857,000頭、ヤギ
:2,000頭)、処分対象家畜は17,000頭となっている。


スペイン、ドイツでは豚コレラが発生

 スペイン農漁業食料省は6月14日、南東部カタルーニャ地方のレリダ県で豚コ
レラが発生し、発生農場を中心に半径3kmの防疫区域および半径10キロの監視区
域を設定したことを明らかにした。これを受けて、EU常設獣医委員会(SVC)は
同日、同国の発生地域から生体豚、精液、卵子および受精卵を輸出禁止とするEU
委員会提案を採択した。さらに、7月11日までに18件(レリダ県15件、カステヨ
ン県1件、バレンシア県1件、クエンカ県1件)の発生が確認されたことから、
SVCは同日、当初、7月15日までとしていた生体豚などの輸出禁止措置を7月31
日まで再延長するとともに輸出禁止区域を拡大する提案を採択した。スペインに
おける豚コレラの発生原因については現在調査が進められているが、東欧からの
生体豚の密輸が関係しているとの指摘がある。密輸は4月末から5月初めにかけ
て行われたとみられており、今後の感染拡大の危険性が懸念されている。

 一方、ドイツ農業省は6月28日、北部のニーデルザクセン州の農場で豚コレラ
が発生したことを発表した。現在、感染原因について州政府が調査を進めている。
ドイツでは、野生イノシシの豚コレラが確認されており、97〜98年にかけてEUで
拡大した豚コレラの発生原因とされており、その後、散発的な発生が確認されて
いる。

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