2000年の食中毒による被害額は年間69億ドルに(米国)


サルモネラの被害額が最大、リステリアがこれに次ぐ

 米農務省(USDA)は先ごろ、腸管出血性大腸菌O157、O157以外の腸管出血性
大腸菌の一種であるSTEC(Shiga Toxic Escherichia Coli)、リステリア、サ
ルモネラおよびカンピロバクターによる2000年の細菌性食中毒の被害推計額が、
約69億ドル(約8,694億円:1ドル=126円)に上ると発表した。

 発表によると、サルモネラによる被害額が最も大きく、約24億ドル(約3,024
億円)と推計されている。本菌に由来する食中毒患者は約134万人、うち入院患
者が約1万6千人、死者が553名であった。リステリア性食中毒については、患
者数自体はサルモネラ性食中毒の0.2%にも満たないものの、死者が499名とこ
れに次ぐことから、被害額も約23億ドル(約2,898億円)で2番目となっている。

 患者数が最多の196万人であったカンピロバクターによる食中毒は、被害額が
約12億ドル(1,512億円)とリステリア性食中毒に続き、以下O157(約7億ドル
=約882億円)、STEC(約3億ドル=約378億円)となっている。


食品安全性規則の費用対効果の検討に利用

 この推計は、米保健社会福祉省疾病予防管理センターや米労働省などの統計に
基づき、医療費などの直接的な経費に加えて、休職や早世などによる損失額など
も考慮されている。また、カンピロバクターはギラン・バレー症候群(自己抗体
により運動神経の障害が起こり、筋肉が麻痺する一連の疾病。手足に力が入らず、
重症例では呼吸筋麻痺を起こす)、O157については溶血性尿毒症性症候群(急性
腎不全、血小板減少および溶血性貧血の3つが特徴)などの合併症を引き起こす
可能性もあることから、推計にはこれらに関する被害額も含まれている。

 今回公表された被害額については、今後の食品安全性に係る規制の費用対効果
を論じる際の検討材料の1つとして利用されるものとみられる。


安全性向上のため、ゲノム情報の研究や食品温度計普及の提案も

 USDAは食品安全性向上のため、さまざまな取り組みを行っているが、6月7日
には、ゲノム研究所との共同研究で、リステリアの遺伝子構造に関する新たな情
報を入手したことを明らかにした。USDAは、解明した個々のゲノムの断片から、
リステリア全体のゲノムマップの配列を決定していくとしている。

 ゲノムマップに関する情報は、この菌が家畜や食品などでどのように生息して
いるか、また、いかに人間に影響を与えるかといったことに関する理解を深める
ものである。このため、USDA食品安全検査局(FSIS)は、こうした情報が、加工
食品などの食品安全性に関する規則の策定やその運用上、重要なものであるとし
ている。

 また、食中毒防止の一環として、FSISは今年の父の日には、ネクタイやシャツ
などの代わりに、「食品温度計」を贈ろうとの呼び掛けを行った。この呼び掛け
では、食品のギフトに使い捨ての温度計を添えることや、温度計付きのフォーク
やバーベキュートング(バーベキュー用の挟み道具)をプレゼントすることなど
も提案された。

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