豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○日本でのBSE発生を背景に変動した肉牛・牛肉輸出価格


9月の肉牛価格は引き続き記録更新

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2001年9月第4週の主に
日本向けとされている肥育牛価格(クインズランド(QLD)州)は記録を更新
し、枝肉換算で1キログラム当たり3.92豪ドル(約251円:1豪ドル=6
4円)と前年の同じ週と比較すると65.4%高となった。

 その他にも、9月第2週には、豪州国内向けが中心の若齢牛(ニューサウスウ
ェールズ(NSW)州)価格が前年同期比31.7%高の3.88豪ドル(約2
48円)、第3週には、アメリカ向けが中心の経産牛(QLD州)価格が同65.
5%高の3.65豪ドル(約234円)と最高値を記録した。

◇図:肉牛価格の推移◇


10月の肉牛価格は急落

 上昇の一途をたどっていた肉牛価格であるが、10月第2週の肉牛価格は急落
した。最も大きな下落率となったQLD州の肥育牛価格は、最高値を記録した9月
第4週と10月第2週を比べると20.2%の下落となった。NSW州若齢牛価格
も9月第2週と10月第4週を比べると13.4%安となっており、さらに、Q
LD州経産牛価格は9月第3週と10月第2週を比べると19.2%の下落を示
した。

 また、牛肉輸出価格についても、同時に下落を示している。9月第3週に最高
値を記録した日本向け牛肉輸出価格は、11月第1週までに27.4%安となっ
た。米国向けについても、9月第3週に記録した最高値を10月第2週には14.
1%下回っている。豪州国内での肉牛価格の下落は、こうした牛肉輸出価格の下
落を反映したものであったといえる。

◇図:牛肉輸出価格の推移◇


日本でのBSE発生が要因も、依然として高値

 このような肉牛価格、牛肉輸出価格の急落は、日本における牛海綿状脳症(B
SE)発生による影響が大きい。そのため、肉牛価格で下落率が最も大きいのは、
日本向け中心の肥育牛価格であり、牛肉輸出価格でも米国向けと比べ日本向けは
大きな下落を示している。

 9月から10月にかけて急落した肉牛価格、牛肉輸出価格であるが、8月まで
は記録的な高値を示していたため、依然として前年同期の水準を上回っている。
2000年後半からの肉牛・牛肉価格が、いかに高値であったかがうかがえる。

 MLAでは、2001年の残りは、日本の牛肉消費量が落ち込むことにより、こ
れまで予測していたほどの日本向け輸出は望めないとみている。しかし、肉牛価
格・牛肉輸出価格は、11月第2週にはすでに上昇傾向に転じており、豪州の肉
牛農家や牛肉輸出業者の2001年の収益は、前年を上回ることは確実といえそ
うだ。

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