◇絵でみる需給動向◇
アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)はこのほど、2001/02年 度(作物市場年度の期間は作目ごとに異なる)における主要な穀物および油糧種 子(小麦、トウモロコシ、大豆、ヒマワリの4作目)について11月7日現在の 作付予測を発表した。 これによると、これら4作目の作付総面積は、前年度比3.5%増の2,31 5万ヘクタールと予測されている。これは、降雨過多による水害の影響で、前回 (10月12日時点)の予測に比べ38万ヘクタール下方修正されている。 SAGPyAによる2001/02年度における小麦、トウモロコシ、大豆の作付予 測などの概要は以下のとおりである。
小麦の2001/02年度(2001年12月1日〜2002年11月末日) の作付面積は705万ヘクタールと前年度を8.5%上回った。これは、史上2 番目に多い作付面積である。この増加要因として、生産農家が小麦価格の上昇を 期待したこと、遺伝子組み換え(GM)大豆と不耕起直播技術の導入により小麦− 大豆の2毛作が増加していることなどが挙げられる。小麦の作付けは、9月28 日時点で100%終了している。しかし、小麦の収穫は12月に本格化するが、 作付け後における水害の影響で、作付面積のうち約20万ヘクタールが収穫不可 能と推測されるとしている。なお、アルゼンチンの大手調査会社によると、20 01/02年度の収穫量は前年度比3.4%増の1,650万トンと見込まれて いる。
一方、トウモロコシの2001/02年度(2002年3月1日〜2003年 2月末日)の作付面積は、前年度比16.3%減の280万ヘクタールと予測さ れている。これが実現すると、2年連続の減少となる。この減少は、生産農家が より収益性の高い大豆を選択する傾向を強めているためとされるが、2001/ 02年度の作付面積の減少予測については、こうした要因に加え、トウモロコシ の作付期における水害が大きく影響している。今後の天候次第では、作付面積が さらに減少する可能性も生じている。11月2日現在の作付進ちょく率は、53 %でほぼ前年並みとなっているものの、水害の影響が大きいブエノスアイレス州 は前年同期を24ポイント下回る44%となっている。 州別の作付け面積は、最大の生産州であるブエノスアイレス州が前年同期を1 5%下回る87万ヘクタール、これに続くコルドバ州で同3%減の79万ヘクタ ール、ラ・パンパ州で同4%減の41万ヘクタール、サンタ・フェ州で同3%減 の38万ヘクタールと予想されている。 また、全国におけるGMトウモロコシの作付面積比率は、12%程度と推定され ている。なお、大手調査会社によると、2001/02年度の収穫量は、前年度 比12.1%減の1,350万トンと見込まれている。
大豆の2001/02年度(2002年4月1日〜2003年3月末日)の作 付面積は、過去最高となった前年度を6.3%上回る1,120万ヘクタールと 予測されている。これは、作付けに当たり競合関係にある他の作物に比べ大豆の コスト低減効果が大きいこと、悪天候の影響でトウモロコシの作付けに遅れが生 じた地域において、大豆へのシフトが見られるためとしている。11月2日現在 の作付け進ちょく率は、11%で前年同期をやや上回っている。また、GM大豆の 作付面積比率は85〜90%程度と推定されている。なお、2001/02年度 の収穫量は、過去最高を記録した前年度を6.9%上回る2,800万トンと見 込まれている。 ◇図:アルゼンチンのトウモロコシおよび大豆生産量◇ アルゼンチンの主要農作物の生産統計 注:2001/02は予測値。 データはアルゼンチン農牧水産食糧庁と コンサルタント情報から作成
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