◇絵でみる需給動向◇
NZMPによると、2001/02年度(6〜5月)6〜9月までの生乳生産量は、 前年同期比3.9%増の246万6千キロリットルとなった。9月までの生乳生 産は、NZ全島で冷涼な天候であったために牧草の生育条件が悪化したものの、年 度当初に北島の一部地域で補助飼料を給与したことなどにより前年同月をわずか に上回った。 このように生乳生産が前年を上回る中で、9月までの乳製品の生産状況は、製 品ごとに格差が出ている。バター、チーズは前年同期比でそれぞれ4.4%、0. 2%と減少している一方で、脱脂粉乳は同0.7%の増加、全粉乳は同28.2 %の大幅な増加となっている。 ◇図:乳製品生産の構成比(6〜9月)◇
このように乳製品別の生産に差が生じたのは、東南アジアを中心とした強い需 要により粉乳、特に全粉乳に生産が集中したためである。2001年9月の乳製 品輸出価格は、脱脂粉乳が前年同月比0.5%高、全粉乳が同2.5%高と上昇 しており、脱脂粉乳、全粉乳ともにピークであった2000年11月の実績は下 回っているものの高い水準を維持している。 なお、生産が前年同期を下回っているバターやチーズの2001年9月の輸出 価格も前年同月を上回っている。受注生産に近い形で乳製品生産量を決定してい るNZでは、生乳の仕向けは粉乳、特に全粉乳に傾いており、バターやチーズの需 要が弱いわけではない。 ◇図:乳製品輸出価格の推移◇
NZMPは、今後の海外市場の動向について、NZ産乳製品に対する需要が減退する 傾向にあるとみている。NZMPはその理由として、乳製品輸入国の輸入業者や需要 者が、今後ヨーロッパからの乳製品供給が増えるであろうとの見通しを示してい ることや、現在、国際乳製品価格が高値にあるために取引が抑制されていること を挙げている。加えて、世界経済の後退による消費減少についても懸念している。 中でも、東南アジアと中国の経済動向によっては、NZの乳製品輸出に大きな影響 を及ぼすとしている。 このようにNZの乳製品輸出には懸念材料もあるものの、東南アジア向け中心と した粉乳生産の拡大は続いている。現在の潜在的な需要も含めた将来的な需要拡 大を見込めることが、NZが輸出市場としてのアジアに注目する理由のひとつであ ると考えられる。
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