◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年の1月から9月までの生乳生産量は、 前年同期を1.9%下回る5,651万トンとなった。2000年の生乳生産量 は、良質な牧草や穀物の安値による濃厚飼料給与の増加などにより経産牛1頭当 たりの乳量が増加したことなどから、その前年を約3%上回る7,605万トン となった。これに対し2001年の通年の生産量は、9月までの生産動向に示さ れている通り、前年を1.3%下回る7,507万トンと見込まれている。この 要因としては、前年の乳価の低迷による酪農家の経営離脱と2001年初めの記 録的な寒波による粗飼料の品質悪化による1頭当たりの乳量の低下などが挙げら れている。 ◇図:1頭当たり平均乳量の推移◇
生乳の供給過剰が見られた2000年に低迷した乳価は、2000年12月に 前年同月の価格を上回って以来、2001年は第3四半期まで連続して前年同月 を上回って推移しており、年間平均では過去最高を記録した98年の価格に近づ くものと見込まれている。乳製品の卸売価格についても、好調な国内需要を反映 して高値で推移しているが、9月中旬にはバターやチーズの価格が低落するなど 年末までの価格は不安定なものになると見られている。また、2002年は米国 の経済動向についての予測が難しく、消費及び乳製品価格の動向を予測すること も難しい状況となっている。
生乳価格の比較的高かった過去4年間の乳製品需要の毎年の伸びは、USDA によると乳脂肪分ベースで見て2.2%、無脂乳固形分ベースで見ると1.8% と高いものとなっているとされている。USDAはこのような需要の伸びには、外食 部門の果たしている役割が大きいと指摘している。最近の乳製品需要の拡大は、 チーズ、バター及びクリームによるところが大きいが、牛乳やアイスクリームな どが家庭での消費が中心になっているのに対して、これらの乳製品は生活形態の 変化と共にレストラン等での需要が中心になっている。USDAでは、米国経済に後 退が見られても、少なくともその初期段階においては、これまでの好況期に習慣 付けられたレストランでの食事を大きく減らすことはなく、従って、2002年 度の乳製品需要も大きく減少することはないだろうとしている。今後の米国経済 の動向とそれに伴う乳製品需要の動向が注目される。 ◇図:食費の家庭消費と外食の割合◇
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