グレートブリテンからの食肉輸出を再開(イギリス)


口締疫の発生件数は2,030件に、一部では完全終息との見方も

 今年2月20日に最初の発生が確認されたイギリスの口締疫は、8ヵ月以上が経
過した中で、発生総数は2,030件(11月14日現在)に上っている。口締疫清浄化
のため、イギリス国内ではこの間に約394万頭(羊:3,186,000頭、牛:600,000
頭、豚:146,000頭、ヤギ2,000頭、シカ:1,000頭、その他300頭)の家畜が殺
処分され、過密飼養を避けるため、動物福祉の観点から約186万頭(10月30日現
在で羊:1,413,000頭、牛:165,000頭、豚:276,000頭、ヤギなど:3,000頭)
がと畜・廃棄された。その結果、3月下旬〜4月上旬にかけて1日当たり40件を
超えていた発生数も、その後は着実に減少した。8月以降の口締疫の発生は、イ
ングランド北部のカンブリアとノーサンバーランドの2地域に集中しており、9
月30日の最終確認以降、新たな口蹄疫の発生は報告されておらず(11月14日現在)、
一部では完全終息との見方も出始めている。今回の口締疫の発生では、めん羊を
中心に感染が拡大したが、牛、豚への影響は比較的小さなものとなった。


豚肉、牛肉の輸出再開を決定、羊肉、ヤギ肉についても再開

 こうした状況を受けて、EUの常設獣医委員会(SVC)は10月11日、グレートブ
リテンの一部地域からEU諸国への豚肉輸出について、条件付で再開するとしたEU
委員会の提案を支持した(北アイルランドについては、口締疫に関する規制措置
は7月7日に既に解除されている)。この措置は、EU委員会による正式決定(委
員会決定2001/740/EC)を受けて10月22日から施行された。また、10月24日に
開催されたSVCでは、豚肉に続き牛肉の輸出再開提案が支持され、EU委員会によ
る正式決定(委員会決定2001/763/EC)を受けて10月30日から施行された。さ
らに、11月6日に開催されたSVCでは、羊肉、ヤギ肉などについての輸出再開提
案が支持され、EU委員会による正式決定(委員会決定2001/789/EC)を受けて
11月12日から施行された。これにより、すべての食肉について、輸出再開が正式
に決定した。


食肉業界、本格的な輸出再開への第一歩と期待

 今回、輸出再開となった食肉については、輸出に際して以下のように厳しい条
件が定められている。

・食肉の出荷に当たっては、イギリスの家畜衛生当局の承認を受けること

・4つに分けられた各地域グループの中で過去90日間、口締疫の発生がないこと

・輸出向けの肉畜はと畜場に搬送されるまでの30日間、家畜衛生当局の監督下に
 置かれること。また、当該農場から10km以内で少なくとも過去30日間に口締疫
 の発生がないこと

・輸出が認められた農場には、輸出向けの肉畜がと畜されるまでの30日間、口締
 疫に感受性のある畜種を導入していないこと

・輸出向けの肉畜は、と畜場に搬入後24時間以内にと畜するものとし、輸出が認
 められていない肉畜と区分すること

・と畜場での公認獣医官による臨床および死後検査で、口締疫に関する徴候がみ
 られないこと

・食肉はと畜後、24時間以上当該施設内に保留すること

 今回の輸出再開は、昨年来からの豚コレラ、口蹄疫など相次ぐ疾病の発生によ
り、弱体化しつつあるイギリスの食肉業界にとって、EU域内への本格的輸出再開
に向けた第一歩になるものと期待されている。

元のページに戻る