ブロイラーの価格低迷を懸念(インドネシア)


ブロイラー生産は2年連続で高水準

 近頃、ブロイラーの生産過剰や不正輸入の増加などによる価格の低迷から、イ
ンドネシア各地の小規模養鶏農家の経営が不振に陥っている。

 政府がこのほど公表した家畜の飼養動向によると、2001年(速報値)における
ブロイラーの飼養羽数は前年比1.2%減の5億3千万羽となる見込みである。同
国における98年のブロイラーの飼養羽数は、97年後半から顕在化した経済危機の
影響を受け、前年比で44.8%減の3億5千万羽とほぼ半減する事態となった。し
かし、経済の回復や政治の安定とともに、2000年には早くも5億万羽台を回復し、
2年連続で高水準の生産が続いている。


正確な情報不足や市場寡占が価格低迷の要因

 西ジャワ州のジャカルタ近郊では、ブロイラーの生産過剰から今年8月以降、
鶏肉価格の下落に直面しており、すでに全体で1千2百億ルピア(約15億6千万
円:100ルピア=1.3円)の損失が出ているという。そうした中で、養鶏農家が市
場動向を把握するための正確な情報が不足している点が指摘されている。農業省
が公表している1週間当たりの初生ひな羽数は1千6百万羽である。しかし、イ
ンドネシア養鶏協会や民間の調査機関によれば、実際は2千3百〜2千4百万羽
とされ、生産者団体によると、この差異が実勢に応じた生産体制を狂わす原因の
一つとしている。

 また、生産者団体は、大手のインテグレーターが市場を寡占し、違法な流通を
行っていることも大きな要因として挙げている。本来、一定の規模を持つインテ
グレーターは、仲買人を通して製品を流通させることが義務付けられているが、
最近では直接、末端市場であるウェット・マーケット(常温流通による伝統的な
対面販売市場)で売却するケースが目立っているという。こうした大手企業は、
末端市場で独自の価格を形成し始めており、小規模農家の経営に大きな打撃を与
えているとされる。生産者団体は政府に対し、速やかな抜本的対策を講ずるよう
要求している。


ブロイラーの不正輸入の増加も価格に影響

 一方、スマトラ島北部の北スマトラ州では、隣接するリアウ州を通したマレー
シアからのブロイラーの不正輸入が増加し、地元の価格に影響を与えているとし
て問題となっている。北スマトラブロイラー生産者協会によると、この不正輸入
は今年3月から行われており、1ヵ月当たり5万〜6万5千羽が到着していると
いう。こうした安価な製品に影響を受けて州内のブロイラー価格も下落が進んで
おり、通常は1kg当たり8,000〜9,500ルピア(約104〜124円)であるが、最近
は4,500〜5,000ルピア(約59〜65円)まで値を下げている。また、これらには
衛生証明がないことから消費者への影響も懸念され、検疫の面からも早急な問題
解決を望む声が高まっている。

 さらに、同協会は、大手インテグレーターが初生ひなの供給量の動向を明らか
にしないなど、業界のリーダーがその経営の透明性を欠くことが小規模農家を圧
迫する要因になっているとしており、ここでも大企業のごう慢な経営体質が浮き
彫りとなっている。

 地域の養鶏業が抱える問題は様々であるが、ブロイラー価格の価格低迷を食い
止めるためには、正確な情報の提供や大手企業の市場独占の禁止など、生産者の
立場に立った行政施策が求められている。

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