シンガポール駐在員事務所 宮本 敏行、小林 誠
鶏舎遠景。石灰岩地域であるサラブリ県におけ る水の確保は難しく、良質の水源地に近い当地が 選ばれた。 |
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200m×70mの鶏舎に2万〜5万5千羽のアーバー・ エーカー系統やコブ系統が飼養されている。写真 の鶏は40日齢程度で、1週間後には系列の加工場 へ出荷される。 |
給餌器は天井からつるすのが一般的。通常はブ ロイラーの頭上にセットされ、給餌頻度に応じく ちばしの高さまで下ろされる。 |
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配合飼料は系列の飼料会社から供給を受けてい る。配合量の7割はトウモロコシで、ほぼ全量が 国産である。 |
ひとくちメモ サラブリ県をはじめとしたタイの中部地域では、輸出を念頭に置いた集約的な ブロイラー生産が広く行われている。タイの鶏肉業界は、経済危機の最中に行わ れたバーツ切り下げを契機に輸出向けブロイラーの増産を図ったものの、熱帯地 域特有の酷暑の影響で出荷体重は1.85kg程度にとどまっていた。 今回紹介するタイの大手インテグレーターが所有するブロイラー生産農場では、 暑さによる成長への影響や高い死亡率を克服するため、エバポレーション・シス テムと呼ばれる鶏舎内冷却システムを導入して大きな成果を上げている。このイ ンテグレーターは、系列に原々種農場1、原種農場4、ふ化場5、ブロイラー生産 農場4および鶏肉加工場2を所有しており、写真の生産農場では41の鶏舎でそれぞ れ2万〜5万5千羽のブロイラーを飼養している。鶏舎内冷却システムの採用によ り、ブロイラー出荷体重は設置前と比較して5%増の1.95kgとなり、死亡率も4ポ イント低下して8%に改善された。タイでは、大手養鶏企業のほぼすべてが同シ ステムを採用しているといわれ、このインテグレーターも今年中にすべての鶏舎 に設置する予定である。
給水ラインは常にブロイラーの頭上にあり、飲 用水がふん尿などで汚染されることがなく衛生的。 また、この方式だと水を飲み過ぎる恐れもなく、 下痢や感染症の予防にもなる。 |
鶏舎の壁一面に配置された鶏舎内冷却システム |
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装置の対壁には水が流れており、鶏舎内の空気 全体を強力なファンで吸い出すことにより、冷気 の対流で舎内温度を28℃程度まで下げる。温度の 調節は、駆動させる装置数を変えることにより行 う。 |
別会社の従来型扇風機による換気形態の例。国 内マーケット向けブロイラーの飼養にはこうした 低コストの簡便な空気循環装置が使われることが 多い。 |
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