◇絵でみる需給動向◇
豪州農業資源経済局(ABARE)が2000年12月に発表した四半期ごとの第一次産 品の需給見通しによると、2000/01年度(2000年7月〜2001年6月)の生産者乳価 (加工原料向け)は、前年度比16.3%上昇の1リットル当たり24.3豪セント(約 15.9円:1豪ドル=65.6円)になると予測された。これは、年度当初(2000年3月) に予測された22.6豪セント(約14.8円)を7.5%上方修正するものとなっている。 酪農乳業の規制撤廃による生産者乳価の低落が懸念されていたが、2000年7月の 実施以降、豪州の生乳生産の多くを占める加工原料乳の生産者乳価についてはそ の影響が当初予想されていたほどのものとなっていないことから、今回の調査で は、過去の加工原料の生産者乳価との比較で高い水準の予測がされている。 ◇図:生産者乳価の推移◇
生産者乳価予測が上方修正された背景には、好調な生乳生産による乳製品生産 の増加を上回る海外市場からの乳製品需要の強まりがある。今回の乳製品輸出額 予測も、年度当初の予測を42.8%上回るものとなっている。生乳生産の8割が加 工原料向けとして使用され、そのうちの多くの乳製品を輸出していることから、 乳製品輸出動向が多くの酪農家にとって収益を左右するものになっている。この ことから、年度当初を大幅に超える今回の輸出額予測が、生産者乳価を押し上げ ることとなった。短期的には豪ドル安の持続が予測されることから、今後も乳製 品輸出の増加が見込まれ、収益の増加傾向は続くとみられている。 ◇図:乳製品輸出額の推移◇
酪農乳業における規制撤廃に伴う酪農経営補償金の交付が開始され、酪農家の 受領が進んでいる。交付金により廃業する酪農家が現れる一方、飼養乳牛頭数の 拡大や債務返済を図る酪農家もいる。このため、1農家当たりの平均飼養頭数が 若干増加し、1頭当たりの乳量増加のための改良もさらに進められ、生乳生産の 集約化が予測される。規制撤廃により飲用乳生産農家を中心に廃業が続出してい るとの報告もある中、このような生産体制の変化が酪農家経営にどのように影響 するのか、今後の動向が注目される。
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