EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調に推移する2000年上半期のチーズ生産、輸出


生産はおおむね増加、大幅な輸出増を見せるドイツ、オランダ

 長期的に拡大の続いたEUのチーズ生産は、98年以降増加率が鈍化し、ほぼ前年
レベルで推移していたが、2000年に入り再び拡大する傾向を示している。2000年
上半期(1〜6月)の生産量は、堅調な域内消費や増加する輸出需要に支えられ、
前年実績を確実に上回るものとみられている。主要生産国のチーズ生産は、生乳
生産の減少が著しいイギリスを除き各国とも順調な伸びを見せており、上半期の
生産量としては過去最高を記録している。また、域外向け輸出も、国内消費が好
調なフランスやデンマークを除き、ドイツを筆頭にそれぞれ大幅な伸びを見せて
いる。

 98年以来2年ぶりに80万トンを超える生産量を記録したドイツでは、旧東ドイ
ツ地域を中心とする大規模酪農地帯での好調な生乳生産が後押しする形で、チー
ズ生産を増加させている。また、この地域の安価な労働力は生乳生産コストを引
き下げ、チーズの価格競争力を形成する大きな要因となっている。

EUのチーズ生産、輸出の推移
(主要生産国の1〜6月実績)
mi-eu05.gif (5978 バイト)
 資料:ZMP
 注1:数値は暫定値
  2:オランダ、イギリスの輸出量は1〜7月までの実績


堅調な需要を背景に上昇を続けるチーズ価格

 このようにチーズ生産が軒並み増加している背景には、堅調な需要に支えられ
た価格上昇が挙げられる。域内のチーズ需要は、ハンバーガーやピザに代表され
るファストフードの浸透、また、サンドイッチなど昼食の簡素化により、ここ数
年、消費は着実に増加している。

 一方、チーズ生産の基となる域内の生乳生産は、チーズ以外の乳製品需要も高
まっている中で、生乳クオータの実施により大幅な増産は難しくなっており、必
然的にチーズ価格の上昇を招いている。2000年12月におけるドイツのゴーダチー
ズ価格(工場渡し価格)は、1kg当たり6.78マルク(約373円:1マルク=55円)
と、前年同期比18.1%高となっている。

◇図:チーズ価格の推移(ドイツ)◇


ロシア、日本向けを中心に増加する域外への輸出

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2000年上半期のEU15ヵ国の域
外向けチーズ輸出量は、域内同様、域外各国での着実な需要の高まりを反映して、
前年同期比14.1%増の20万4千トンを記録した。中でも通貨危機からの回復が見
られるロシア向けの大幅な増加、また、日本、中東向けの着実な輸出増が注目さ
れる。一部輸出業者の間では、輸出需要の高まりを受け強気の取引条件を提示す
るなど輸出環境にも変化が出始めている。

 このような中、下半期の輸出についても、引き続き堅調な需要を受け前年度を
上回ることが確実とみられている。ここしばらく、生産量、価格ともに上昇傾向
で推移する状況にある。

EU域外向けチーズ輸出量(1〜6月実績)
mi-eu07.gif (7315 バイト)
 資料:ZMP

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