米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○脱脂粉乳の政府在庫が2年ぶりに発生


加工原料乳価格支持制度の下、CCCが無制限買い上げ

 加工原料乳価格支持制度とは、米農務省(USDA)の関連組織である商品金融
公社(CCC)が、加工原料乳の支持価格に見合った価格で乳製品(バター、脱脂
粉乳およびチーズ)を無制限に買い上げることにより、その原料乳の価格を支持
価格水準で間接的に支持しようとするものである。CCCによって買い上げられた
乳製品は、用途を指定しない市場価格での国内向け一般販売、内外向けの無償供
与などさまざまな方法で放出、処分される。96年農業法により、支持価格の段階
的な引き下げと99年末での制度廃止が規定されたが、その後2度にわたり実施期
限が延長され、現時点では、2001年末をもって廃止されることとなっている。


価格低迷で買い上げが急増

 脱脂粉乳については、卸売価格(西部諸州のFOB価格)が99年2月以降弱含みと
なり、2000年に入っても買い上げ価格(101セント/ポンド(258円/kg:1ドル
=116円))水準での低迷が続いたことから、西部諸州のプラントを中心に、CC
Cの買い上げが活発に行われた。このため、純隔離数量(CCCの買い上げ数量
(用途無指定の一般販売数量を除く)および乳製品輸出奨励計画(DEIP)に基づ
く補助金付き輸出量を含む)は、2000年1〜11月で前年同期比24.7%増の26万6千
トンとなった。こうした中、CCC未処分在庫が2000年12月中旬、98年11月以降初
めて発生し、12月末現在で16万8千トンに達した。また、民間在庫も99年2月以降
前年を上回って推移しており、2000年10月末現在で前年同月比27.9%増の5万7千
トンとなっている。

◇図:脱脂粉乳の民間在庫および純隔離数量◇


在庫発生でDEIP再開へ

 長引く価格の低迷は、需給が依然として緩和基調にあることの現れといえる。
脱脂粉乳の需要は、消費者の低脂肪志向の沈静化を反映して、業務用を中心に不
振が続き、2000年1〜10月の消費量(政府の国内無償供与部分を除く商業(購買)
消費量)は、前年同期を6.9%下回る29万トンへと減少した。一方、脱脂粉乳の
生産量は、生乳の供給増から、2000年1〜11月で前年同期比7.3%増の61万トンと
増加の衰えを見せていない。USDAは2000年7月以降、国際価格の高騰で米国産
脱脂粉乳の競争力が増したとの判断から、DEIPによる補助金の交付を見合わせて
いた。しかし、2年ぶりの政府在庫発生の事態を受け、DEIPに基づく輸出を再開
する意向を今年1月に明らかにした。

◇図:脱脂粉乳の生産量および価格の推移◇

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