大手酪農組合が新規加盟の再開を決定(NZ)


2年間のモラトリアムに終止符

 ニュージーランド(NZ)最大の酪農組合(乳業メーカー)であるNZデイリー
グループ(NZDG)は12月15日、国内3ヵ所で組合員総会を同時開催し、既存組合
員には限度数量を超える生乳出荷に高額のペナルティを課す一方、新規加盟者に
は生乳出荷量に応じた加盟(権利)金を徴収するという「ピークライツ制度」を
導入することを条件として、99年4月から約2年間にわたって実施していた同組合
への新規加盟規制(モラトリアム)を解除することを決定した。


南島で多数の加盟申請

 NZDGによると、国際乳製品市況の高騰やNZドル安の為替環境で生産者乳価が
高値で推移していることもあって、モラトリアムの解除と同時に南島南岸のイー
デンデール工場には64戸、同島東岸のクランデバイン工場には79戸の酪農家から
新規加盟申込みがあった。これらは主に羊飼養などから酪農に経営転換した者で
あるが、NZDGに支払われる加盟金の総額はイーデンデール工場だけでも4千4百
万NZドル(約23億1千7百万円:1NZドル=52.7円)に上るとされ、同工場の集乳
量は約30%増加すると見込まれている。


徴収資金は生乳処理施設の拡大に活用

 NZDGが2年前にモラトリアムを開始したのは、南島で羊飼養などから酪農への
経営転換が急激に増加し、同組合の生乳処理施設の限界を超える生乳が生産され
るに至ったためであった。このため、ピークライツ制度によって徴収される資金
は、主に同島の生乳処理施設の増設や能力拡充に活用されることになる。イーデ
ンデール工場では2002/03年のシーズンまでに1億5千万NZドル(約78億9,900万
円)をかけた粉乳製造施設が完成する予定であり、また、クランデバイン工場で
は1千万NZドル(約5億2,700万円)を投じた施設拡充が行われることになってい
る。


南島がNZ酪農発展の鍵

 現在、NZ酪農の中心は北島であり、生乳全体の約80%が同島で生産されて
いる。しかし、同島の酪農適地はほぼ開発し尽くされており、近年は南島の可能
性が注目されている。南島東側は降雨量が少なくかんがい施設が不可欠となって
いるが、近年のかんがい技術の発達で酪農可能地が拡大している。一方、このこ
とは南島農地価格の高騰を招いており、労働力の大幅な不足とともに南島酪農の
将来に影を落としている。NZDGを含む2大酪農協の合併が実現する見通しとなり、
気勢が上がるNZ酪農乳業界であるが、今後の発展は南島の動向にかかっていると
言えよう。

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