中央経済工作会議、2001年も内需拡大方針を継続(中国)


2000年の中国経済は大きな成果を上げたと総括

 中国共産党中央委員会と国務院(内閣)が主宰する中央経済工作会議が、2000
年11月28〜30日に北京で開催された。会議では、江沢民総書記(国家主席)が演
説し、2000年の活動総括と現状分析を行うとともに、翌年の経済活動についての
主要任務などを提起した。また、朱鎔基国務院総理(中央政治局常務委員)も、
2001年の経済活動計画に関する演説を行った。

 この会議では、政府は2000年において、経済発展のニーズに合わせて内需拡大
政策を堅持し、積極財政と安定的な通貨政策を続けたほか、経済構造の調整、農
業の基盤強化、国有企業改革や西部大開発、輸出振興政策などが奏功し、投資や
消費、輸出が伸びたことから、中国経済が全般的に大きな成果を上げた1年であ
ったと総括された。また、20年以上に及ぶ改革開放と経済成長の進展により中国
の生産力は強化され、社会主義市場経済体制がほぼ確立したとの認識も明確にさ
れた。


8項目の経済活動に関する主要任務を決定

 中央経済工作会議では、今後の中国の経済活動について、インフレ予防策やデ
フレ対策などマクロ経済のコントロールが有効に行われたという経験を踏まえ、
今後もより一層の発展を目指し、立ちはだかる諸問題を積極的に解決していくこ
ととされた。同時に世界貿易機関(WTO)加盟に向け、関連経済法規の整備と不
合理な規制の撤廃などを進めるとともに、輸出拡大に努め、積極的かつ効果的に
外資の利用を図ることも確認された。

 また、2001年は新たな世紀に入り、第10期5ヵ年計画(2001〜05年:「十五」)
の1年目として重要な年であるとされ、経済活動に関する主要任務が以下の通り
定められた。

1 中国共産党第15期大会と同党第115期中央委員会第5次全体会議(5中
 全会)の方針(本誌2000年12月号「トピックス」参照)を確実に実行し、機会
 を逃すことなく速やかな発展を実現させる。

2 内需拡大方針を堅持し、積極財政と安定的な貨幣政策を継続するとともに、
 マクロ経済のコントロールのためのさまざまな手法を総合的に活用し、経済成
 長を維持する。

3 情報技術(IT)の導入により工業をけん引し、経済構造の戦略的調整を進め
 る。

4 農業の基本的地位の向上と農業支援を強化し、農民の増収に努める。

5 企業の経営機構を見直し、国有企業の改革と経営難脱却を進める。

6 WTO加盟に向けた諸準備を進め、対外開放の促進により開放型経済を積極的
 に発展させる。

7 雇用機会の拡大と社会保障制度の確立により、国民生活をさらに改善する。

8 改革と発展、安定の関係をバランスよく調整し、国民経済の健全かつ速やか
 な発展と社会の進歩を促進し、「十五」が好スタートを切れるよう努力する。


メキシコ政府が中国のWTO加盟に慎重姿勢

 中国紙「人民日報」によると、中国のWTO加盟交渉代表団の団長を務める龍永
図・対外貿易経済合作部副部長は昨年12月19日、香港で開催された中国投資政策
シンポジウムで、記者団の質問に対し、中国のWTO加盟の日は間近であると述べ
た。また、大まかな作業スケジュールについて、今年1月20日までに多国間交渉
を終え、WTO全体理事会などで可決された後、中国の国会に相当する全国人民代
表大会(全人代)で採択、批准書交換から30日後に正式加盟となるとの中国側の
見通しを明らかにした。

 一方、昨年12月1日に新政権が発足したメキシコでは、デルベス経済相が同月
20日、中国との2国間交渉は長期化すると述べ、中国のWTO加盟に慎重な姿勢を
見せた。中国はこれまでに、2国間交渉を希望した36ヵ国のうちメキシコを除く
すべての国と合意に至っている。中国の加盟に当たっては、この36ヵ国すべてと
合意に達することが前提条件となる。

 デルベス経済相はまた、中国との2国間合意には、WTOルールに準拠した中国
国内法の整備が必要であると指摘している。同相は、特に中国による砂糖のダン
ピング問題に懸念を示し、交渉合意には反ダンピングなどの法整備が条件である
としている。こうした背景には、農産物をはじめとするさまざまな分野において、
中国がメキシコと国際市場で競合しているという事情もあるようだ。

 中国のWTO加盟については、その市場潜在力に対する期待や脅威とも相まって、
世界中の関心を集めているところであるが、2国間交渉の最後の相手国となった
メキシコが慎重姿勢を見せたことで、今後の成り行きが注目される。

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