ブッシュ次期米大統領、新農務長官にアン・ベネマン氏を指名
歴史上まれにみる大接戦と投票結果をめぐる混迷の末、現職の副大統領のアル
・ゴア氏(民主党)を破って次期大統領に選出されたジョージ・W・ブッシュ氏
(共和党)は2000年12月20日、新政権における次期農務長官に、前カリフォルニ
ア州食料農業長官のアン・ベネマン氏を指名すると発表した。会見の席で紹介を
受けたベネマン氏は、「私達の農業者は、米国のみならず世界中の人々に食料と
衣服を供給している。これらの市場拡大に向け、ともに取り組んでいくことが重
要である」と述べた。
ベネマン氏はカリフォルニア州モデストの桃栽培農家の出身で、カリフォルニ
ア大学デービス校で政治学を学んだ後、同大バークレー校で公共政治学修士号お
よびヘイスティングス校で法学博士号をそれぞれ取得した。
レーガン政権時代の1986年に米農務省(USDA)入りし、同年から89年まで海
外農業局でAssociate Administratorを務めた。ブッシュ前政権では、89年〜91年
にUSDA史上、女性としては最高位の農務次官補(国際問題および農産物プログ
ラム担当)、続く91年〜93年には農務副長官を歴任した。
95年には女性で初めてカリフォルニア州食料農業長官に就任し、同州農産物の
海外市場開拓に手腕を発揮した。99年1月に退任した後は、同州サクラメントで
食料、農業、環境問題などを専門とする弁護士として活躍した。
ベネマン氏はUSDA時代、90年農業法制定時の責任者の1人であった。また、
ガット・ウルグアイラウンド農業交渉では交渉開始から合意に至るまで関与した
ほか、米加自由貿易協定や北米自由貿易協定(NAFTA)の締結に際しては交渉担
当の任に就いた。さらに、ホルモン牛肉や遺伝子組み換え作物など、食品の安全
性や動植物検疫に関する貿易・流通問題に取り組んだ経験も持っている。
ベネマン氏の指名について、グリックマン農務長官は、「彼女は農政への幅広
い経験を有しており、すばらしい仕事をすると思う。ブッシュ次期大統領は非常
に良い選択をした。」とコメントした。また、ファーム・ビューローや全国肉牛
生産者・牛肉協会(NCBA)などの農業団体も、一様に歓迎の意を表明している。
趣味は料理と読書。51歳。
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