◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年第1四半期(2001年1〜3月)における ブロイラー輸出量(可食処理ベース)は、前年同期を12.1%上回る69万4千トン となった。昨年のこの時期にロシアへの援助輸出が大規模に実施されたことを考 慮すると、今年第1四半期の増加はさらに顕著なものといえる。このような増加 は、ロシア向けが前年同期比75.4%増の22万3千トンと大幅に増加したのをはじ め、アジア諸国についても、香港向けが11.7%増の16万7千トン、韓国向けが30 .0%増の2万4千トンと、日本を除いていずれも好調であったことがその要因と して挙げられる。なお、米国産ブロイラーの大部分がロシアへ再輸出されていた ラトビア向けは、昨年4月以降、ブロイラーの陸送輸入がロシア当局によって禁 止されたことから、大幅に減少することとなった。 ◇図:ブロイラーの国別輸出量◇
ロシアについては今期、98年の経済危機以降初めて、香港を抜いて最大の輸出 市場に返り咲いた。ロシアでは、原油価格の高騰やインフレ率の低下などを反映 して経済が好調なことから、消費者の購買意欲もおう盛で、2001年の需要は前年 を5.0%程度上回ると見込まれている。これに対し、国内生産は、飼料供給上の問 題などから2001年においても約3.0%の増加にとどまるなど、需要を満たすまでに 至っておらず、需要の約6割は輸入に依存している。こうしたことから、輸入ブ ロイラーへの需要は極めて堅調で、ロシアのブロイラー輸入において72%(2000 年)のシェアを有する米国産のブロイラーも、骨付きもも肉を中心に需要が増加 することとなった。
今後の見通しについてUSDAは、EUでの口蹄疫発生に伴い、ロシアにおいて3 月下旬から1ヵ月余り、同地域からのブロイラーの輸入が禁止されたこともあっ て、米国産ブロイラーの需要が一層増加するとしている。このため、2001年通年 の輸出量は、前年比6.8%増の269万トンと85年以来の増加傾向が継続するとみら れる。さらに、業界関係者の間では、日本と韓国で6月上旬、鳥インフルエンザ の発生を理由に中国産ブロイラーなどの輸入が一時的に禁止されたことから、こ れらの市場向け米国産ブロイラーの需要が後押しされるのではないかとの期待が 高まっている。 ◇図:ブロイラー輸出量の推移◇
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