◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が5月に発表した2001/02年度(9〜8月)の飼料穀物の 需給見込みによると、世界の生産量は、ロシアを除く主要生産地で回復が著しく、 前年度比3.9%増の8億8,982万トンが見込まれる。一方、消費量は、中国、メキ シコ、ブラジルを中心に飼料用トウモロコシの消費量が増加することなどから、 前年度比1.9%増の8億9,447万トンと過去最高の水準となる。このため、飼料穀 物の生産量と消費量の格差は縮小するものの、3年連続で消費量が生産量を上回 るとみられる。また、2001/02年度の期末在庫量は、前年度に続き減少する。な お、今回の発表では、中国の在庫量が過年度にさかのぼって大幅に増加修正され た。主要国について見ると、米国のトウモロコシ生産は、史上2番目の増産とな った前年度を下回るものの、消費量も減少し期末在庫量はわずかな減少にとどま るとみられる。また中国では、トウモロコシの生産量が前年度の厳しい干ばつに よる大幅な落ち込こみから回復するものの、消費量が過去最高となることから期 末在庫量は引き続き減少するとみられる。
2001/02年度の世界の飼料穀物貿易量は、輸入については、東欧やメキシコと いった主要な輸入地域で飼料穀物生産量が増加することなどから前年度比1.2% 減の9,971万トンとみられる。輸出については、米国が、アルゼンチンや中国の ほか、前年度記録的なトウモロコシの増産で純輸出国となったブラジルと厳しく 競合し前年度を上回る。なお、輸入については、最大の輸入地域であるアジアが、 引き続き飼料穀物需要が減退するため、世界の飼料穀物輸入に占める割合は47% と低下する。韓国では、2001年1月に牛肉が輸入自由化された結果、トウモロコ シ輸入量が前年度を下回る。日本では、引き続き輸入食肉の依存度が高まるため、 飼料穀物の輸入量は前年度をわずかに下回る。台湾では、一定した飼料穀物の輸 入需要がみられる。マレーシアでは、経済危機からの回復に伴い国内の養鶏産業 が進展することからトウモロコシの輸入量が増加する。またアジア以外では、中 東や北アフリカで、養鶏産業の進展などにより増加する。 ◇図:世界の飼料穀物貿易量◇
USDAによると、5月27日現在の米国(主要18州:2000年の作付面積の92%を 占める)におけるトウモロコシの作付け率は95%で問題なくほぼ完了した。こ れは、ハイペースであった昨年を下回るものの、最近5年間の平均を上回るペー スとなっている。また直近(6月3日現在)の発芽率は90%となっている。なお トウモロコシの収穫量は、今後(6〜7月)の気象条件の影響が大きいとされて いる。
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