◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年の牛乳乳製品消費量(政府の国内向け無 償供与部分を除く商業消費(購買消費)量)は、乳脂肪ベースの生乳換算値で7, 675万トンと前年を2.6%上回った。このような消費の増加は、実質国内総生産 (GDP)成長率が5.3%と経済状況が極めて良好であったことを反映している。景 気は、年後半になると成長率の鈍化がみられたものの、消費者の購買意欲は依然 おう盛で、食費についても、外食をはじめ堅調な伸びが見られた。USDAでは、 2001年の牛乳乳製品消費について、経済の減速に伴い増加のペースは鈍化するも のの、前年比0.8%増の7,738万トンと増加傾向で推移すると予測している。 ◇図:牛乳乳製品消費量の推移◇
2000年の消費を製品別に見ると、チーズやバターなどの乳脂肪製品の増加が目 立った。中でも、チェダーなどのアメリカンタイプ以外のチーズ(モッツァレラ など)は、前年比5.1%増の224万トンと、99年に続いて5.0%を超える伸びを示し た。また、バターは、前年比1.3%増の60万トンと50年代に記録した過去最高並 みの水準に達した。こうした動きについて、USDAでは、好景気を背景として、 高級食材志向が高まる中、乳製品についても、チーズ、バター、高級アイスクリ ームなどに対する需要が増加したためとみている。 ◇図:主要乳製品の消費量◇
これに対し、無脂乳固形分ベースの生乳換算値で見た2000年の牛乳乳製品消費 量は、前年比1.9%増の6,332万トンと乳脂肪需要に比べて低い伸びにとどまった。 こうした需要の低迷は、低脂肪食品の販売不振によるところが大きい。無脂乳固 形分は90年代前半、消費者の脂肪への健康面での懸念の高まりから低脂肪食品が 相次いで開発されると、これらの原料向けを中心に需要が大きく拡大した。しか し、96年以降、このような「低脂肪ブーム」の沈静化に伴い、無脂乳固形分の需 要も急速に縮小していった。また、USDAは、安価な濃縮乳たんぱくの輸入が急 増し、脱脂粉乳などの代替品となっていることも、無脂乳固形分の食品原料向け 需要が伸び悩んだ要因の1つに挙げられるとしている。このため、脱脂粉乳の場 合、2000年の需要は、前年比2.7%減の9万8千トンとなった。
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