◇絵でみる需給動向◇
EU統計局によると、2000年のEU域外向け豚肉(生体豚、調整品およびラード などを含む)輸出量(生体豚は枝肉重量ベース、その他は製品重量ベース)は、 154万1千トンと前年を0.6%下回る結果となった。域外向け豚肉輸出は、域内で の豚肉生産の増加や輸出需要の高まりを背景に、15ヵ国体制となった95年以降、 一貫して増加基調で推移していた。特に99年は、輸出補助金の増額やユーロ安で 推移した為替相場などの恩恵を受けて、過去最大の輸出量を記録した。しかし、 2000年に入り、域内の豚肉生産が減少に転じる一方、需要回復に伴い豚肉価格が 上昇したことから域内向け流通量が増加し、域外向け輸出量は、高水準を維持し たものの前年実績を下回る結果となった。 ◇図:EUの域外向け豚肉輸出◇
2000年の域外向け輸出を国別に見ると、最大の輸出先であるロシア向けが、40 万7千トンと前年比26.7%の減少となった。ただし、ロシア向けについては、前 年実績に大量の食料援助分が含まれていたことを勘案すると、その分を除いた98 年との比較では21.6%の増加になっている。日本向けについては、依然として堅 調に推移しており、香港、中国向けも増加が目立っている。また、好調な経済に 沸いた米国向けは前年比10.1%の増加となった。一方、前年3位の輸出実績を記 録した韓国向けは、韓国の口蹄疫発生により輸出分が国内市場向けに充当された ことから、前年比34.6%減の6万5千トンと大幅に減少した。 輸出先別の豚肉輸出量 資料:EU統計局
EU委員会では、2001年の豚肉需給見通しについて、域内の豚肉生産が減少する 中で需要は回復傾向にあり豚肉価格が堅調に推移するため、域外向け輸出は減少 すると予測している。域内の豚肉生産については、デンマークやスペインなどを 除き、おおむね減少とみており、中でも口蹄疫発生の影響が懸念されているイギ リス、オランダ、アイルランドでの低下を予測している。また、輸出については、 デンマークなどの主要輸出国が、価格面で有利なイギリス向けや、オランダから の出荷が止まったイタリア向けなどに力を注ぐとみている。 EUの豚肉生産見通し 資料:EU委員会、ZMP 注1:2000年は暫定値、2001年は推定値 2:ベルギーには、ルクセンブルクを含む
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