◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年第1四半期(2001年1〜3月)の豚肉輸 出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比20.2%増の17万8千トンとなった。中で も、最大の輸出先である日本向けは、前年同期比30.2%増の8万8千トンと大幅 に増加した。対日豚肉輸出が急増した要因について、USDAでは、日本の国内生 産の減少に加え、米国からの牛肉輸入が現地価格の高騰などから前年同期を7.0 %程度下回ったため、牛肉の出回り量の減少に対する代替需要が生まれたことを 挙げている。さらに、日本の輸入業者が、不況で低価格志向の強い部門に、もも ・かた系などの中級部位を中心として、米国およびカナダ産豚肉を前年より2割 程度安い価格で供給するなど、相対的に価格の安い輸入豚肉への需要が高まった とも分析している。また、ロシア向けは、ソーセージなどの加工用需要の高まり から、前年同期に比べてほぼ倍増した。 ◇図:豚肉の国別輸出量◇
一方、豚肉輸入(枝肉重量ベース)は、97年以降増加傾向で推移する中、2001 年第1四半期は10万3千トンと前年同期を7.8%下回った。これは、EU地域での 口蹄疫(FMD)発生に伴い、3月13日以降同地域からの食肉輸入が禁止されたた め、第2の供給国であるデンマークからの輸入が、前年同期比17.1%減の1万5 千トンとなったことを反映している。豚肉輸入については、最大の供給国である カナダが、国内でのと畜処理能力の拡大を背景に、対米輸出を生体から豚肉にシ フトさせていることを受けて、シェアを90年の48.7%から2001年第1四半期には 76.9%へと大きく伸ばしたのに対し、デンマークのシェアは、90年の30.4%から 2001年第1四半期の14.7%へと約10年で半減している。こうしたことから、デン マークからの輸入は大きく落ち込んだものの、豚肉輸入全体としては7.8%の減 少にとどまった。 ◇図:主要国別豚肉輸入シェア◇
今後の見通しについて、USDAでは、輸出は堅調な推移が見込まれることから、 2001年通年では前年比7.6%増の63万7千トンと、91年以降の増加傾向が継続す ると見込んでいる。一方、輸入は、5月25日にEU産食肉の禁輸がデンマークを 含む一部加盟国を対象に解除されたため、今後はデンマークからの輸入増が見込 まれるものの、2001年通年では前年比0.2%減の43万8千トンと前年をわずかに 下回るとみている。
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