2001年のブラジル産鶏肉輸出は大幅増加で推移


2001年1〜4月の輸出量はパーツの増加が顕著

 ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)がとりまとめた輸出動向(速報値)による
と、2001年1〜4月の鶏肉輸出量(骨付きベース。以下同じ)は、37万4千トン
(前年同期比35.8%増)となり大幅な増加傾向で推移している。形態別では、丸
どりが17万4千トンで18.5%増、パーツが20万トンで55.6%増と特にパーツの大
幅な伸びが著しく、丸どりの輸出量を上回っている。ブラジル産鶏肉輸出量は、
近年増加を続けているが、特にパーツの比重が高まってきており、2000年には丸
どり(51.9%)とパーツ(48.1%)の比率はほぼ同じになっている。

◇図:ブラジル産鶏肉輸出量の推移◇


EUのBSE問題でブラジル産鶏肉輸出量が急増

 全体の約4割を占める中東向け(93.9%は丸どり)は、26.8%増の14万3千ト
ンとなった。最大の輸出先であるサウジアラビア向けは、11.9%増の7万9千ト
ンとなり、アラブ首長国連邦向けは、74.9%増の1万5千トンと大幅に増加した。
欧州向け(94.2%はパーツ)は、2.4倍の7万7千トンと急増した。これは、20
00年11月にEUで再燃した牛海綿状脳症(BSE)問題などの影響で牛肉消費が減少
し、代替として鶏肉需要が高まったもので、ドイツ向けが4.5倍(2万6千トン)、
オランダ向けが2.4倍(2万1千トン)、イギリス向けが2.4倍(1万4千トン)
といずれも飛躍的に増加した。アジア向け(全体の94.1%がパーツ)は、香港向
けが16.2%増の4万4千トン、シンガポール向けが30.6%増の1万1千トンとそ
れぞれ増加した。しかし、日本向けは、欧州への輸出が拡大したことなどの影響
で、11.5%減の3万5千トンと減少したとみられる。また、新興市場への輸出で
顕著な増加が見られたのはロシア向けで、30.7倍の1万9千トンとなり、うち約
7割が丸どりで占められた。


ダンピング問題でアルゼンチン向けは大幅減

 なお、アルゼンチンとの鶏肉貿易については、同国政府が2000年7月下旬、ブ
ラジル産鶏肉丸どりに対しアンチダンピング税を賦課して以来、同国向け鶏肉輸
出量が激減しているが、2001年1〜4月では前年同期比55.8%減の8千トンとな
った。

 現地報道によると、ブラジル政府は、アルゼンチン政府が導入したアンチダン
ピング措置の見直しを求め、メルコスルの紛争処理機関に問題の解決を委ねてい
たが、同機関が今年5月下旬、ブラジル側の要請を退ける裁定を下したとされる。
ブラジル政府は、メルコスル内での解決が図られない場合、世界貿易機関(WTO)
に提訴する意向を表明しているが、提訴の具体的時期などについては明らかにさ
れていない状況である。

◇図:ブラジル産鶏肉の輸出地域比率◇


新興市場進出に向け大手企業が共同出資会社を設立

 ABEFによると、新興市場への進出を図る動きとして、ブラジルの大手食品会
社であるサジア社とペルジゴン社が4月下旬、両社の共同出資による輸出会社B
RFトレーディング・カンパニー社の設立を発表した。

 新会社は、新興市場の開拓に当たり、両社が協調関係を保つことでコストの軽
減を図り、競争力のある鶏肉および豚肉製品を当該市場へ供給することを主な狙
いとして設立されたもので、既存市場にあっては、従来通り、両社間の競争が継
続することになる。新会社が対象とする主な市場は、ロシア、エジプト、南アフ
リカ、アンゴラ、キューバ、ドミニカ共和国、イラン、イラク、ヨルダンなどで、
今後の輸出展開が注目されている。

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