米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○雌牛の保留開始で牛飼養頭数に増加の兆し


総飼養頭数は前年比0.9%減

 米農務省(USDA)の飼養動向調査によると、2001年1月1日現在における牛の
総飼養頭数は、前年比0.9%減の9,731万頭となった。キャトルサイクルは、記録
的な穀物価格の上昇に伴い繁殖経営の収益性が悪化した96年をピークに減少に転
じ、その後も、子牛価格の低迷や、干ばつによる粗飼料不足などから前年を下回
って推移していた。この調査結果から、総飼養頭数は5年連続で減少し、これま
でほぼ10年単位で循環してきたキャトルサイクルは、今回11年目に入っても上昇
に転じていないことが明らかになった。

◇図:牛の総飼養頭数と繁殖経営の収益性◇


肉用更新用雌牛が6年ぶりに増加

 一方、牛群再構築のカギを握る雌牛について見ると、繁殖雌牛頭数は、前年比
0.4%減の4,260万頭と前年割れが続いたものの、500ポンド(約272kg)以上の未
経産牛頭数は、前年比0.6%増の1,978万頭となった。中でも、肉用種の未経産牛
頭数は、前年比1.5%増の559万頭と6年ぶりに増加に転じた。これは、繁殖経営
が牛群の拡大を念頭に置いて、ようやく雌牛の保留を開始したことの現われとい
える。雌牛の保留は、収益性の改善が本格化した2000年にはスタートすると予想
されていたものの、西部諸州などの主産地が2年続けて深刻な干ばつに見舞われ
たため、これら地域の生産者は、粗飼料不足から牛群の縮小を余儀なくされてき
た。しかし、2001年における繁殖経営の収益性は、供給減少を反映して肥育牛価
格の堅調な推移が見込まれることから、黒字幅が拡大するとみられる。また、生
産者は、度重なる干ばつに苦しんできたため、保留に対する潜在意欲がおう盛で
あるとも伝えられている。こうしたことから、繁殖経営は、明るい収益見通しに
基づいて、更新用雌牛の保留を始めたとみられる。


キャトルサイクル上昇局面への転換は天候次第

 今後の見通しについて、キャトルサイクルは、今年後半には上昇局面へと転換
すると一部の専門家の間で分析されている。しかし、これは、干ばつや穀物の不
作などのマイナス材料が出現しないことを前提としている。こうした不測の事態
が発生しないとすれば、今回保留された更新用の未経産牛は、2003年春の出産に
向けて来年夏までには種付けられ、早ければ2004年前半には、生産された子牛が
牛肉となって市場に出回るとみられる。

牛の飼養動向
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 資料:USDA/NASS「Cattle」
  注:1)500ポンド以上
   :2)500ポンド未満の子牛
   :3)各年1月1日現在

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