米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラー輸出、2000年は2ケタ増も2001年は前年並みか


2000年1〜11月では前年同期比15.2%増

 米農務省(USDA)によると、2000年1〜11月のブロイラー輸出量(可食処
理ベース)は、前年同期比15.2%増の233万トンとなった。こうした大幅な増加
は、香港やロシアなどの主要な輸出先からの需要が極めて堅調であったことによ
る。このため、USDAは、2000年通年のブロイラー輸出量は、前年比11.2%増の
248万トンと、4年ぶりに2ケタの伸びを記録すると見込んでいる。


ロシア向けがほぼ倍増

 輸出相手先別実績では、ロシア向けの伸びが際立っている。2000年1〜11月の
ロシア向け輸出量は、前年同期比93.9%増の57万2千トンとほぼ倍増し、第1位の
香港向けに迫る勢いとなった。99年の実績には7万4千トンの援助輸出が含まれて
いるが、2000年はすべて商業ベースであることを考慮すると、ロシア市場の拡大
はさらに顕著であるといえる。

  ロシア向け需要の大幅な増加は、原油や天然ガスなどの輸出産品価格の高騰な
どを反映した好調な経済によるところが大きい。付加価値税などの引き下げやル
ーブル高により輸入品が割安となったことも需要が拡大した要因となっている。
さらに、2000年4月以降、関税逃れの不正取引を一掃する目的から、米国産ブロ
イラーのバルト海諸国などからの陸送が禁止されたため、ロシアへ直接輸出され
るようになったことも、大幅な増加の要因として挙げられる。こうしたことから、
2000年第3四半期に限って見ると、米国の対ロシア農産物輸出総額(1億2千万
ドル(約140億円:1ドル=117円))の7割をブロイラーが占める結果となった。

  ロシア以外では、香港(中国を含む)向けが前年同期比17.9%増の58万4千
トン、メキシコ向けが17.9%増の14万5千トン、日本向けが3.6%増の9万7千
トンといずれも増加した。

◇図:国別ブロイラー輸出量◇


競合激化で2001年は前年並みにとどまる見込み

  ブロイラー輸出は85年以降、一貫して増加を続けてきた。しかし、2001年は、
ブラジルなどの主要輸出国との競合が高まること、仕向け先における生産増から
輸入需要が低下することなどから、USDAでは、前年比0.3%増の249万トンと、
98年に次ぐ低い伸び率にとどまるとみている。

◇図:ブロイラー輸出量の推移◇

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