豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○酪農乳業規制撤廃後の酪農生産動向


飲用向け生乳生産州で乳価に大きな影響

 豪州農業資源経済局(ABARE)が1月30日に発表した酪農乳業改革に係る緊急
調査の結果によると、2000年7月〜11月までの平均生産者乳価について、最も大
きな影響を受けたのが西オーストラリア(WA)州で前年度比31%安の25.0豪セ
ント(約16.4円:1豪ドル=65.4円、1リットル当たり、以下同じ)、次いでニュ
ーサウスウェールズ(NSW)州が29%安の25.4豪セント(約16.6円)、クインズ
ランド(QLD)州では24%安の30.0豪セント(約19.6円)といずれも飲用向け生
乳生産の多い州となっている。

 その一方で、これまで加工原料向け生乳を中心に生産していたビクトリア(V
IC)州の平均生産者乳価は、前年度比3%安の25.1豪セント(約16.4円)、タス
マニア(TAS)州では7%安の24.0豪セント(約15.7円)と影響が小さくなってい
る。

州別の平均生産者乳価(豪セント/リットル)
mi-aus05.gif (2720 バイト)
 資料:ABARE「The Australian Dairy Industry」
 注1:この調査は、酪農家180戸によるサンプル調査
  2:99/2000年度7月〜6月、2000/01年度は7月〜11月


乳価が下落した州では多くの廃業者

 規制撤廃の影響が生産者乳価に大きく現れた州のうち酪農家戸数が多いNSW
州とQLD州では、2000年7月から12月までの半年間でそれぞれ200戸、110戸と多
くの酪農家が廃業している。規制撤廃以前の99年7月から2000年6月の1年間で廃
業した酪農家はNSW州では46戸、QLD州では44戸であることを見ても、これらの
州の酪農家における規制撤廃の影響の大きさがうかがえる。今後5年間について
の経営に関する意向調査によれば、一般的には規模の小さな酪農家が廃業すると
の結果になっている。

◇図:酪農家戸数の推移(NSW州、QLD州)◇


経営継続の酪農家の規模拡大により生乳生産量は変わらず

 このように多くの酪農家が廃業する中でも、2000/01年度(2000年7月〜
2001年6月)の生乳生産は、前年度比1%の増加が予測されている。この予測に
ついてABAREでは、90年代の生乳生産のような毎年度6%前後の増加率で推移す
る傾向からは外れるとしながらも、1戸当たりの乳牛飼養頭数の規模拡大により、
生乳生産量には大きな変化はないとみている。また、2000/01年度の酪農家1
戸当たりの生乳生産量は、NSW州で平均9%、VIC州で平均6%増加すると見込ま
れており、生産者乳価の下落による収入減少は、規模拡大による乳量の増加と労
働コストを維持することにより賄われるとしている。

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