◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年の豚飼養戸数は、前年比13.0%減の85,7 60戸となった。飼養戸数は、90年代に入って、全体の8割を占める飼養規模1千頭 未満の経営を中心に加速度的に減少し、5年前の95年と比べると49.1%の減とほ ぼ半減した。こうした中にあって、5千頭以上層はここ数年の間に急増し、2000 年には全体の2.4%を占めるまでシェアを伸ばした。一方、2000年における1戸当 たり平均飼養頭数は、大規模化の進展を反映して前年比16.0%増の698頭となった。 ◇図:養豚飼養戸数および1戸当たり飼養頭数◇
飼養頭数の規模別分布を見ると、2000年において、戸数シェア8.0%の2千頭以 上の経営が、総飼養頭数の72.0%を飼養し、5千頭以上層では50.5%と、初めて半 数を超えた。こうした大規模層への豚の集中は、生産から消費に至る供給チェー ンが、契約や統合などを通じて強化されるという垂直的調整の急速な進展が背景 となっている。このため、豚の所有ベースで見ると、5万頭以上の巨大経営(総 戸数110)による2000年の頭数シェアは、前年の39.5%から45.0%に拡大した。ま た、繁殖雌豚に限って見ると、スミスフィールド社を筆頭とした大手10社のシェ アは、27.5%に上ると業界では試算している。 ◇図:飼養規模別飼養頭数シェア◇
このような中、10年あまり続いた豚肉チェックオフ制度が今年1月、生産者な どによる全体投票で存続を否決される事態となった(詳細は、本号3頁の「トピ ックス」を参照)。この制度が法制化された85年当時、飼養戸数は現在の約5倍 に相当する38万9千戸で、このうち20%を占める農家が総頭数の37%を飼養して いた。こうした生産構造の下では、チェックオフ制度は、肉豚などの取引の際に 生産者などから強制的に徴収されるチェックオフ資金を原資として、豚肉の市場 拡大を目的とした販売促進や調査研究活動などの諸活動を実施することにより、 生産者の間で支持されていた。しかし、現在のような寡占状態の中では、小規模 層を中心に、制度の恩恵を受けないばかりか、廃業を余儀なくさせる一因ともな っているという不満が積もっていったとみられる。今回の全体投票の結果は、チ ェックオフ制度を支えてきた生産構造の変化を象徴しているといえよう。
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