2000年のブラジル産鶏肉輸出量は過去最高を記録


2000年の鶏肉輸出量は90万7千トンに

 ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)が発表した輸出動向(速報値)によると、
2000年1〜12月の鶏肉輸出量(骨付きベース。以下同じ)は、過去最高を記録し
た前年を17.7%上回る約90万7千トンとなった。一方、輸出額(FOBベース。以
下同じ)は約8億600万ドル(約943億円:1ドル=約117円)と前年を8.0%下回っ
た。

 形態別には、丸どりが前年比11.4%増の47万トンであったのに対し、パーツは
25.3%増の43万6千トンと大幅に増加した。全体に占めるパーツの割合は前年比
で2.9ポイント上昇し、48.1%となった。

◇図:ブラジル産鶏肉輸出量、輸出単価の推移◇


メルコスル向けを除く地域で増加

 地域別に見ると、最大の輸出先で、その9割以上が丸どりの輸出である中東向
けは、前年比10.1%増の37万トンとなったものの、全体に占める割合は前年に比
べ2.8%ポイント低下し40.8%となった。これは、ブラジル鶏肉業界が価格低下
の著しい同地域向け輸出を手控えたためで、同国最大の輸出相手先であるサウジ
アラビア向け丸どりは4.5%減の19万8千トンとなった。

 中東に次ぐ輸出先で、その9割以上がパーツの輸出であるアジア向けは、前年
比13.6%増の26万9千トンとなった。国別では香港向けが10.9%増の11万3千トン、
日本向けが8.7%増の10万9千トンとなった。特に、中国向けは1万9千トンと前年
に比べほぼ倍増となった。

 EU向けは、前年比49.5%増の13万2千トンと大幅に増加した。形態別には、全
体の9割以上を占めるパーツが50.6%増の12万3千トンとなった。国別には、ドイ
ツ向けが57.6%増の3万トン、イギリス向けが50.5%増の2万5千トン、オランダ
向けが約2倍の3万9千トンと、いずれも大幅に増加しており、EU向け輸出が躍進
する原動力となった。

 一方、唯一前年を下回ったのは南米南部共同市場(メルコスル)向けで、前年
比20.0%減の4万2千トンとなった。これは、アルゼンチン政府が2000年7月下旬、
ブラジル産鶏肉丸どりに対しアンチダンピング税を賦課したことが最大の要因で、
アルゼンチン向け丸どりは21.3%減の3万6千トンとなった。

 その他の地域では、アフリカ向けが前年比58.9%増の3万5千トンとなった。特
に、丸どりは83.1%増の2万3千トンと大幅な伸びを示し、中でも、アンゴラ向け
が2.6倍の1万7千トンと大幅に増加した。また、ロシア向けは、2.1倍増の2万1千
トンとなり、形態別では、丸どりが同2.1倍増の1万4千トンとなった。

ブラジル産鶏肉の輸出先別、形態別輸出量
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 資料:ABEF


2001年は輸出量、輸出金額とも増加を予測

 なお、ABEFは2001年の鶏肉輸出動向に影響のある要因として、次のような点を
挙げている。

・輸出市場価格が回復傾向にあること
・国産トウモロコシの増産が見込まれていること
・EUで2000年10月、フランスを端緒とする牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃によ
 り牛肉需要が低下し、その代替として鶏肉需要が増加していること

 この結果、2001年のブラジル産鶏肉輸出量は100万トン、輸出額は10億ドル
(約1,170億円)と輸出量、輸出金額とも2000年を上回る可能性があると予測し
ている。

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