豪州で酪農乳業などの官民共同研究プロジェクトを実施


酪農、羊産業の研究プロジェクトに新たに出資

 豪州連邦政府は1月18日、酪農乳業、羊産業を含めた合計19の産業に対して、
新たに今後7年間の長期にわたり総額3億2,500万豪ドル(約212億5,500万円:
1豪ドル=65.4円)を投じて、官民共同研究所(Co-operative Research 
Center: CRC)プロジェクトを実施することを発表した。連邦政府、大学、
民間企業、研究機関が共同で行うこととなる。

 CRCプロジェクトは、90年に18億ドル(約1,177億2千万円)を投入して、産業
科学資源省の指導監督の下、グローバルな視野に立ち官民の枠にとらわれない世
界レベルの共同研究の場として産業ごとに組織された。また、このプロジェクト
は、IT産業、農業関連産業、鉱物、輸送、建築、環境という幅広いフィールドを
カバーしている。今回の19プロジェクトの開始は2001年7月1日となっており、豪
州全体で累計83の研究所でCRCプログラムが実施されることとなる。また、現在
までにCRCによる数々の研究成果が報告、実践され関係業界の期待と信頼を得て
いる。


酪農乳業では、遺伝子技術開発に焦点

 酪農乳業については、1,700万豪ドル(約11億1,180万円)の予算で遺伝子技術
開発を目的とし、@優良な乳質に関与する遺伝子を選択するようなDNA解析、A
健康促進に役立つ乳製品の開発、B乳成分の向上、C食品、製薬産業などでの利
用、D優良血統牛をクローン技術により作出する、となっている。この研究開発
には、公的機関からは豪州連邦科学産業研究機構(CSIRO)や酪農研究開発公社
(DRDC)、ビクトリア州政府、民間企業からは乳業メーカーであるボンラックや
8,500戸の酪農家の出資により遺伝子技術開発を目的として設立されたGenetics
Australia、大学の研究所などが参加する。

 羊産業においては、総額1,980万豪ドル(約12億9,492万円)の予算で、消費者
が求める高品質の羊肉と羊毛の開発を目的とし、@動物福祉に配慮した飼養管理
技術の開発、A遺伝子技術による細い繊維と良質な肉の開発、B最新技術の適用
による収益性の向上、C大学における職業訓練コースの配置、となっており、今
後、産業ごとに各テーマについて研究が実施されることとなる。

 その他の農林水産業部門では、小麦(1,700万豪ドル:約11億1,180円)および
水産(養殖)(1,650万豪ドル:約10億7,910万円)について同様のCRCプロジェ
クトが実施される。


各産業における厳しい状況の中、CRCの研究成果に期待

 豪州の酪農乳業界は、昨年7月の酪農乳業の規制撤廃により酪農家の廃業が続
くなど今もなお激しい動きを見せている。また、羊産業も昨年までの羊毛価格の
低迷で厳しい経営状態が続いている。

 これら研究の成果が現れるのは、まだ先かもしれないが、それぞれの産業にと
って前向きな話題であることには変わりはない。厳しい現状の酪農業、羊産業の
生産者にとって今後のCRCの研究成果が期待される。

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