◇絵でみる需給動向◇
MLAによると、2001年8月の肉牛価格は、若齢牛(NSW州)、肥育牛(QLD 州)、経産牛(QLD州)それぞれ、前年同月比30.3%高の365.4豪セント (約241円:1豪ドル=66円)、同48.8%高の352.4豪セント(約2 33円)、同51.6%高の323.4豪セント(約213円)と大幅に上昇し、 すべての種類において過去最高を記録した。これは国内、海外市場ともに需要が 強く、これに加えて供給がタイトなためである。供給がタイトな要因は、素牛価 格の上昇によりパッカーやフィードロットが肉牛の導入を控えていることが挙げ られる。すでに1週間に1日のカットバック(操業短縮)を行っているパッカー もあるといわれている。 ◇図:肉牛価格の推移◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が2001年8月に発表した報告書による と、中期的な肉牛価格の見通しについては、2000年ほどの高値とはならない ものの国内外からの強い需要の中で供給が抑制されることから、比較的高い水準 で推移すると予測している。 同報告によると、今後5年間の主要な市場における肉牛価格は、下落する兆し はみられないとしている。しかしながら、国内の肉牛価格が低落する可能性とし ては、豪ドル為替相場の急激な上昇、世界的な景気後退や食品安全性の問題によ る牛肉需要の減退、干ばつ被害の拡大、米国の牛肉生産の増加および予測よりも 早い南米産牛肉の競合市場への供給再開などを挙げている。 その一方で、この報告書では豪州統計局(ABS)のデータが牛群の構築につい て予測していたよりも早く進展していることに触れており、その結果として起こ る牛肉の過剰供給が肉牛価格を下げる要因になるとの懸念材料も挙げている。
肉牛価格が高値で推移する中、豪州国内の牛肉小売価格も上昇することが予測 されている。MLAはこの影響で2002年の牛肉の1人当たり消費量は2キログ ラム減の33.6キログラムになるとしている。しかし、その後は経済成長や牛 肉供給の増加、外食部門などにおける牛肉利用の増加などにより、2005年に は牛肉消費量は回復するとみている。
元のページに戻る