◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年1〜6月の牛肉(子牛肉を含む枝肉重 量ベース)輸出量は、前年同期比14.1%減の48万9千トンとなった。国別 には、このところ経済の回復などに伴い需要が拡大しているメキシコやカリブ諸 国向けが、ともに前年同期を上回った。特に、米国にとって第2位の輸出先であ るメキシコ向けは、牛肉が1.2%増の11万4千トン、また生体牛も18.7% 増の6万3千頭となった。メキシコでは、牛肉需要の増加と干ばつの影響でと畜 頭数が増加しているものの、消費の伸びが生産の伸びを上回って推移しているた め、牛肉のみならず食肉全般について輸入が増加し、純輸入国となっている。US DAは、今年の同国への牛肉輸出量を42万5千トンと予測しているが、これは5 年前の5.2倍にも相当する。 これに対し、最大の輸出先である日本向けが8.5%減の23万7千トン、牛 海綿状脳症(BSE)に対する懸念などから、需要が鶏肉などにシフトしている韓 国向けが34.6%減の5万6千トンなどとなったのをはじめ、メキシコ向けな ど一部を除き、多くの仕向け先において前年同期を下回った。これには、国内生 産量の減少と相場高の影響があるといわれる。 なお、ロシア向け輸出については、前年同期比87.2%減と大きく減少して いるが、これは昨年初めに行われた援助輸出(4万6千トン)が、今年は実施さ れなかったことによる。
2001年上半期の牛肉輸入については、国内生産量の減少と依然好調な牛肉 消費を反映し、前年同期比4.9%増の73万7千トンとなった。米国では今冬、 天候不順の影響で牛の体重があまり増加せず、1頭当たりの平均枝肉重量が低下 したことなどから、2000年12月以降、枝肉生産量が前年割れする状況が続 いている。 ◇図:2001年上半期における牛肉輸出量の増減◇ その一方で、このところ経済成長の停滞が指摘されているにもかかわらず、牛 肉の消費は依然好調で、今後も需要が上向くとする分析もある。こうした状況を 受け、豪州やカナダ産などを中心に輸入が伸び、特に輸出余力の大きい豪州産は、 前年同期比27.2%増の24万7千トンとなった。
米国の肉牛生産者団体の全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)と肉牛生産者牛肉 振興調査ボード(CBB)はこのほど、今年第2四半期(4〜6月)の牛肉需要は 前年同期比5ポイント増で、依然堅調に推移していると発表した。その上で、2 001年の牛肉消費支出は、前年に比べ24億ドル(約2,880億円:1ドル =120円)増の553億ドル(約6兆6千億円)に上るとの予測を示した。こ うした強気な予測の背景には、調理済みまたは半調理済みの牛肉製品の販売額が、 最近2年間で約88%の伸びを見せていることなどがあるとされている。
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