◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年上半期(1〜6月)における鶏肉輸出 量(可食処理ベース)は、前年同期比16.4%増の142万1千トンとなった。 このような大幅な増加は、ロシア向けが49万3千トンと前年同期のほぼ2倍 となったことによるところが大きい。ロシアは牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫問 題によるEUなどからの牛肉などの輸入停止措置に伴う、代替食肉として鶏肉の輸 入を増加させた。ロシアでは、EUなどにおける家畜の疾病問題の影響で、牛肉お よび豚肉の価格が上昇したため、加工業者は食肉製品のコストダウンを図るため、 低価格の動物たんぱくである鶏肉を代用にした。このため、米国からの輸入が大 幅に増加することとなった。これにより、ロシアは香港を抜き、米国からの輸出 量の35%のシェアを占め、再び最大の輸出市場に返り咲いた。2001年通年 での輸入量は100万トンを超えるものとみられている。 ◇図:上半期ブロイラー輸出量◇
アジア地域では、日本と韓国が鳥インフルエンザの問題で中国産鶏肉などの輸 入を一時的に禁止したことなどから、米国産の需要が高まり、日本向けが前年同 期比2.8%増の5万7千トン、韓国向けが同23.0%増の4万7千トンと増加 した。しかし、シェアの22%を占める香港向けが鳥インフルエンザの影響によ る国内消費の落ち込みやロシア市場の拡大などから同2.0%減の31万2千ト ンとなったのをはじめとして、フィリピン(前年同期比52%減)、中国(同2 8.5%減)、台湾(同18.7%減)といずれも大幅に減少し、アジア向け輸出 は総じて不振となっている。 北米地域では、カナダ向けが前年同期比2.0%増の2万8千トン、メキシコ 向けが同8.5%増の8万トンといずれも前年同期を上回る結果となった。
USDAでは、2001年通年の輸出量は、香港向けはわずかに下回ると見込まれ るものの、ロシア向け輸出が引き続き好調であることから、前年比9.2%増の 275万9千トンになると見込んでいる。日本向けについては、円安傾向とロシ ア、香港および中国向けの供給増の影響から2001年通年の輸出量は、前年比 3.0%減になるとみている。また、2002年についても増加傾向は継続する とみている。 ◇図:ブロイラー輸出量の推移◇
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