◇絵でみる需給動向◇
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2001年上半期のEUの生乳 供給量(乳業会社等への出荷量)は、前年同期比0.3%減の5,919万5千ト ン(暫定値)となった。当初、上半期の生乳供給量については、域内で加速する 乳用経産牛飼養頭数の減少やイギリス、オランダなどで発生した口蹄疫問題など により、減少は避けられないとの見方もでていた。しかし、2000〜2001 年(4〜3月)にかけて、イギリス(北アイルランド)、イタリアなど加盟5ヵ 国で実施されたEUの生乳生産割当(クオータ)の増枠により生産が上向いたこと から、最終的には、これが減産分に充当される形でほぼ前年並みの水準となった。 EUの生乳供給量(1〜6月) 資料:ZMP 注:2001年の数値は暫定値
生乳供給量がほぼ前年並みの水準を維持する中で2001年上半期の乳製品生 産は、市場価格や消費動向を的確に反映し、チーズ生産の増加が目立つ形となっ た。域内のチーズ生産は、ファストフードなどの浸透による消費の拡大や輸出需 要を反映して増加傾向で推移しており、月別の対比で見ても99年8月以降、前 年同月実績を上回っている。一方、チーズ以外の乳製品の生産については、いず れも前年実績を下回る結果となった。下半期の乳製品生産動向については、好調 な消費に支えられたチーズ生産は引き続き増加すると見込まれ、生乳供給量もチ ーズ部門により多く傾斜するとみられている。このような中で、バターや脱脂粉 乳の生産は、需要の回復がなければ現状の水準を維持するのが難しい状況にある とみられている。 EUの乳製品生産(1〜6月) 資料:ZMP 注:2001年の数値は暫定値
このような中で、域内の乳製品価格については、消費動向を反映するかのよう にチーズ価格が堅調な推移を見せている。また、バターについては、EUの民間在 庫補助が開始されたことから、需要の回復が見られない中でも価格は上向きに転 じつつある。 一方、脱脂粉乳や全粉乳については、昨年来の価格高騰により高値での取引が敬 遠されつつあり、調整局面を迎えている。EUでは、イギリスでの口蹄疫問題が依 然として沈静化を迎えておらず、乳用経産牛のとう汰が進行している。このため、 今後の生乳生産への影響が懸念されており、下半期には生乳供給量が不足すると の事態も予測されている。イギリスの生乳供給量減少は、EUの乳製品価格にも大 きく影響するだけに、その動向が注目されている。 ◇図:主要乳製品価格の推移(ドイツにおける参考価格)◇
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