◇絵でみる需給動向◇
米国では、2000年12月以降、生乳生産量が前年を下回って推移する一方 で、全体に伸び率は鈍化しているものの、乳製品の需要は好調な状況が続いてい る。 米農務省(USDA)が先ごろ発表した2001年上半期の乳製品需要動向による と、2001年1〜6月の乳製品消費量(政府の国内向け無償供与部分を除く商 業(購買)消費量。以下同じ)は、前年同期比0.8%増の3,762万トン (全乳ベース)となった。昨年、前年同期比で6%近く増加したチーズの消費量 (製品ベース。以下、製品ごとの消費量は製品ベース)については、2%台と伸 び率は落ちたものの、引き続き安定的な伸びを示している。
こうした中、このところ減少傾向が続いていた脱脂粉乳消費量が前年同期比2 4.7%増の19万7千トンとなった一方で、近年は3〜6%近い伸びを示して いたバター消費が、前年同期比6.6%減の25万4千トンとなった。この背景 には、チーズなどに比べ、もともとバターや脱脂粉乳については消費の絶対量が それほど大きくないことに加え、特にバターについては、生乳生産量が前年を下 回る一方で、最大の需要期であるクリスマスに向け、例年以上に毎月の在庫量を 積み増ししていることなどがあると思われる。 なお、脱脂粉乳など無脂乳固形分の需要は90年代前半、脂肪に対する健康面 での懸念による消費者の低脂肪し好の高まりから、飲用乳やアイスクリームなど への原料用を中心に急増した。しかし、96年以降、こうした「低脂肪ブーム」 の沈静化に伴い、無脂肪製品や低脂肪製品の多くが減産もしくは生産が中止され たことや、脱脂粉乳などの代替として、安価な濃縮乳たんぱくの輸入が急増して いることなどから、無脂乳固形分の需要は、全体に縮小傾向にある。 ◇図:各年上半期における乳製品の消費量の増減率◇
一般に多くの乳製品の需要は、景気変動の影響を受けやすいといわれている。 米国ではこのところ、経済成長が減速する傾向が見られ、米商務省が8月末に発 表した今年第2四半期(4〜6月)の実質国内総生産(GDP)成長率は、前期比 年率換算で0.2%と、ほぼゼロ成長となった。しかし、個人消費の方は同2. 5%と相変わらず堅調で、米国の景気は、年内は停滞するものの、来年には再び 成長を示すとするアナリストの説もある。こうした背景もあり、USDAは20 01年の牛乳・乳製品の消費量については、安定的に推移するものと見込んでい る。 ◇図:牛乳・乳製品消費量の推移◇
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