イギリス、農業政策見直しのための委員会を設置
イギリスの口蹄疫発生件数は、2千件の大台に
イギリスでは、今年2月の口蹄疫の発生からすでに7ヵ月以上が経過したが、
直近1週間(9月10日〜16日)における1日当たりの発生件数は2件と、今のと
ころ完全終息のめどは立っていない。総発生件数は2,021件(9月16日現在)と
なり、2千件の大台を超える状況となっている。防疫措置としてと畜された家畜
は387万頭(牛:59万7千頭、羊:311万7千頭、豚:13万9千頭、その他:1万
7千頭)に上り、このほか過密飼養を避けるため動物福祉の観点から羊を中心に
266万頭がと畜されるなど、同国の農畜産業は大きな打撃を受けている。こうし
た中、イギリス環境・食料・農村地域省は8月9日、現行の農業政策の見直しを
行うため、3つの独立した委員会を設置することを公表した。
3つの委員会で政策などについての勧告や報告書を作成
3つの委員会は、定められた期間内に勧告または報告書を取りまとめ、これを
ブレア首相およびブランケット大臣に提出することになっている。各委員会の概
要は、以下の通りである。
@口蹄疫大発生に関する委員会
今回の口蹄疫大発生の教訓を踏まえ、家畜伝染病の発生時における政府の取る
べき対策に関する勧告を取りまとめる。口蹄疫の終息後に審議を開始することと
し、審議開始後6ヵ月を目途に勧告の取りまとめを完了する。
A科学的検討委員会
口蹄疫の大発生で持ち上がった感染や防疫対策などに関する複雑な問題(ワク
チンの使用問題も含む)について、科学的な観点からの検討を行う。イギリス学
士院が中心となり、獣医師およびウイルスや伝染病の専門家だけでなく消費者や
農業者の代表も加えて審議が行われる。2002年の夏までに勧告を取りまとめる予
定である。
B農業および食料の将来政策に関する委員会
政府に対し、いかにして競争力を有し、持続的かつ多様な農業・食料部門を構
築するかを助言する。報告書の取りまとめは、幅広い関係者からの助言を受けな
がら進められ、その過程を一般に公表することが想定されている。諸外国におけ
る農業改革の成功例に関する知識を有する者だけでなく、経済専門家やEUの法令
・政策に関する専門家も招致できることとされた。報告書は2001年12月31日まで
に取りまとめる予定である。
最大の農業団体も将来に向けた戦略計画を公表
一方、イングランドおよびウェールズにおける最大の農業団体である全国農業
者連盟(NFU)は先般、将来に向けた戦略計画を公表した。この計画は、持続的
な農業の実現に向け、生産者である農民の意識改革や消費者の需要を把握した生
産力の強化など、農業の収益性回復に主眼を置いたものとなっている。同国の農
業における最優先課題は、一日も早い口蹄疫の撲滅であることは言うまでもない
が、これと並行して深刻な打撃を受けた農業の再生へ向けた動きが始まっている。
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