南欧を中心に高齢化が進むEU農業


農業労働人口の減少率は縮小傾向に

 EU統計局(EUROSTAT)は先般、EUにおける農業労働人口(フルタイム労働に
換算)の変化に関するショートレポートを公表した。これによると、EU9ヵ国*
の農業労働人口は、75年と97年との比較で43%減と大幅な落ち込みを見せている。
この間の傾向としては、ほぼ一貫した減少が見られる(年2.5%減)ものの、@
低所得層の農家の離農が多く見られた75〜80年(年3.0%減)や、A耕種作物で
介入価格の引き下げや生産調整が行われ、小規模層の農家の離農が進んだ87〜90
年(年5.1%減)の2つの時期については、特に農業労働人口の減少率が高くな
っている。しかし近年では、この減少率は縮小傾向にある。これを耕種作物につ
いて見ると、85〜97年に記録された農業労働人口減少の大部分(81%)は87〜90
年の期間に集中しており、その後は安定的な推移を見せている。また、酪農では、
84年に生乳生産枠(クオータ)制度が導入された後、段階的な減少に変化し、95
年以降は減少幅も縮小した。


生産技術の向上や生産規模の拡大などで生産性は向上

 一方、減少の続く農業労働人口であるが、その生産性(純付加価値額/農業労
働人口)は、75年と97年との比較で2.5倍に増加している。この要因としては、
生産技術の向上と生産規模の拡大による集約化が挙げられる。EU15ヵ国における
農業労働人口(97年)を種類別に見ると、主体は家族労働人口で全体の79%を占
めている。加盟各国における家族労働人口の割合は各国間で大きく異なっており、
フィンランド、アイルランドおよびオーストリアで90%を越えるが、経営規模の
大きいデンマークやイギリスでは約60%となっている。過去からの動きをEU9ヵ
国について見ると、75年に84%を占めた家族労働人口は、97年には81%と減少し
たが、その減少幅はわずかなものとなっている。


55歳以上の農業労働人口は全体の4割弱で高齢化が進む

 EU15ヵ国の農業労働人口(95年)を年齢構成別に見ると、55歳以上の割合は35
歳未満を上回り全体の4割に近い。過去からの動きをEU9ヵ国について見ると、
79/80年で32%であった55歳以上の割合は95年に38%まで上昇している。特に65
歳以上の層の増加が顕著に見られるなど、農業労働人口の高齢化が徐々に進んで
いることをうかがわせる。国別では、ギリシャ、スペイン、イタリアおよびポル
トガルの南欧の4ヵ国がEU平均を上回っている。EU統計局のレポートでは、南欧
4ヵ国の高齢化要因について、これらの国では晩年まで農業に従事し続ける傾向
があることを指摘しているが、残念ながら、年々高齢化が進行している要因には
言及していない。

◇図:EU9カ国の年齢別農業労働力◇

元のページに戻る