米国農産物輸出、好調な中で市場シェア減少の懸念


2001年度の農産物貿易黒字は9ヵ月で22億ドル増

 米農務省(USDA)の発表によると、米国の2001年度(2000年10月1日〜2001
年9月末)における農産物の輸出額は、2001年6月までの9ヵ月間の累計で、前
年同期比5%増、金額にして20億ドル(約2,400億円:1ドル=120円)増の407
億ドル(約4兆8,840億円)となった。こうした動きは、いわゆる高価額製品
(HVPs)の輸出増によるもので、特に皮革類(前年同期比4億ドル(約480億円)
増)、飼料(2億8千万ドル(約336億円)増)、果実および果汁(1億7,700万
ドル(約212億円)増)で高い伸びを示した。

 一方、同期間の輸入については、コーヒー価格の値下がりなどから前年同期比
1%減、金額にして2億4千万ドル(約288億円)減の296億ドル(約3兆5,520億
円)となった。この結果、同期間の農産物の貿易黒字額は、前年同期を22億ドル
(約2,640億円)上回る111億ドル(約1兆3,320億円)に達した。ベネマン農務
長官は、米国の農業生産者にとって貿易は極めて重要であり、さらに拡大させて
いくためには、貿易交渉を進め、新たな市場開放を実現していくことが必要とコ
メントした。

 なお、USDAによると、米国の農産物輸出額は過去15年間において、農業生産者
の現金収入の18%程度であったものが、現在では約30%にまで増加している。


USDA幹部が米国の農産物輸出シェアの低下に懸念を表明

 8月初め、米上院農業委員会の「生産および価格競争力に関する小委員会」に
おいて、シャープレスUSDA海外農業局次長は、米国の農産物輸出の現状について
証言、その中でUSDAが懸念している事象について、

 「米国は20年前、国際農産物貿易市場において、まさに世界の輸出国のリーダ
ーであり、そのシェアは24%に達していた。しかし、現在では18%にまで低下す
ると同時に、米国のライバルであるEUとの差が縮小し、EUに追い越される寸前ま
できている。また、6ポイントの減少といっても、1ポイントの減少が7億5千
万ドル(約900億円)の農業所得の減少に相当することから、見過ごすことので
きる値ではない。」

 と言及した。

 同局次長は、米国が輸出市場におけるシェアを増加させるために必要な事項と
して、(多国間)貿易システムの大幅な改善、米国の輸出関連制度の見直し、国
際市場に焦点を絞ったマーケティング戦略の遂行を挙げた。また、小委員会の議
員に対して、次期農業法の議論との関連で、世界貿易機関(WTO)の協定上問題
のない輸出市場の開発に関する制度への取り組みを求めた。さらに、国内政策が
米国農産物の競争力を妨げては、輸出政策に取り組む意義が失われるとして、国
内外の政策の一貫性とWTOのルールに基づく措置の必要性を訴えた。


歴代農務長官が大統領のTPA獲得を支持

 こうした中、ブッシュ政権に対し貿易促進権限(TPA)を付与するよう、その
早期承認を議会に働きかけているベネマン長官に援軍が現れた。

 TPAは、過去にファスト・トラック権限と呼ばれていたもので、行政府が議会
から通商協定に関する交渉権限を与えられ、議会には、協定の実施法案について、
その賛否のみを一括して問うことで足りるという仕組みである。このTPA付与に
ついては、前任のグリックマン氏から、古くは約40年前に農務長官を務めたフリ
ーマン氏に至るまで、過去の農務長官10名が8月27日、連名で支持を明らかにす
るとともに、議会に対してその承認を求めた。力強い応援を得たベネマン長官は、
米国が他の輸出国に比べ、自由貿易協定の締結について大幅に出遅れていること
に危機感を示すとともに、TPAの承認が、米国の農業にとって新たな機会を創出
する上で不可欠との認識を改めて強調した。

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