◇絵でみる需給動向◇
豪州農林漁業省(AFFA)によると、2000/01年度(7〜6月)の牛肉輸出量 (船積みベース)は、前年度比12.5%増の95万8,595トンと過去最高を記録した。 輸出量増加の要因としては、米国などの競争相手国の供給量がタイトであった こと、豪州国内での肉牛価格の高値が出荷を促進したことおよび豪ドル安の為替 相場が国内価格の高値を相殺し、海外市場で豪州産牛肉の需要を誘引したことな どが挙げられる。 ◇図:牛肉輸出量の推移◇
2000/01年度の牛肉輸出を輸出先別に見ると、最大の輸出先である米国向けが 38万6,633トンと前年度比24.6%の大幅な増加となり、全体のシェアの40.3%を 占めた。米国向けの輸出量が増加した要因としては、米国国内での供給が不足し ていたことと口蹄疫発生による南米産牛肉の代替需要が強まったことに加え、豪 ドル安が輸出環境を整えたことが挙げられる。日本向けについては前年度よりも シェアは減少したものの、輸出量は前年度比3.0%増の33万5,936トンと増加し た。日本でのデフレ傾向が、豪ドル安の中で米国産牛肉から豪州産牛肉へと需要 をシフトさせたとみられる。その他のカナダや台湾、フィリピンなど輸入自由化 前の在庫を抱えているといわれている韓国を除く主要な輸出市場においても輸出 量は増加しており、好条件の輸出環境が豪州の牛肉産業に恩恵をもたらしたと言 える。また、ヨーロッパを中心に発生した牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫の影響 により、これまで市場が比較的小さかった中東地域において輸出量が増加してい ることも注目される。 ◇図:国別の輸出量シェア(2000/01年度)◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2001年7月の米国向けの加工用 ボンレス牛肉(経産牛、赤身率90%)の価格は、前年同月比23.4%増の1キログ ラム当たり382.4豪セントと肉牛価格の高値の影響により大幅に上昇している。 一方、これを1ポンド当たりの米ドルベースで見ると、前年同月比5.9%増の95. 3米セントと上昇率としては大きいものの、豪ドルベースの上昇率と比べれば低 いものとなっている。これは、豪ドル安が米ドルベースの輸出価格の上昇を相殺 する働きをしたためで、好調な輸出維持に為替相場が寄与したところが大きかっ たと言える。 ◇図:米国向け牛肉輸出価格の上昇率の推移◇
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