米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調なブロイラー価格


卸売価格は上昇傾向で推移

 ブロイラー卸売価格が好調に推移している。米農務省(USDA)が公表する全国
12都市の丸どり平均卸売価格は、ロシア向け輸出の激減により、98年8月をピー
クに下降し、その後もおおむね前年を下回って推移してきた。2000年9月に1年
半ぶりに前年水準を上回って以降、2001年に入ってからは7ヵ月連続して前年同
月を上回って推移している。7月は、前年同月比6.4%高の60.3セント/ポンド
(約168円/s:1ドル=126円)となり、99年6月以来の60セント台の回復とな
った。

 部位別では、もも肉の卸売価格が上昇傾向で推移しており、7月は前年同月比
26.5%高の46.1セント/ポンド(約128円/s)となった。

◇図:ブロイラー卸売価格◇


価格上昇の要因は輸出増と供給の伸び率鈍化

 このように価格が上昇傾向にある要因としては、輸出需要が好調であることが
挙げられる。5月の輸出量は前年同月比25.5%増の23万2千トン、1〜5月では
前年同期比20.5%増の117万6千トンとなった。全体の約3割のシェアを占める
ロシアへの輸出は拡大傾向にあり、前年同期比108.1%増の39万トンとなった。
アジア市場では、香港、韓国、台湾への輸出はいずれも堅調となっている。2001
年通年での輸出量は、前年比7%増の268万トンと見込まれている。

 一方、供給側の要因として、ブロイラー生産の伸びが鈍化したことが挙げられ
る。2001年1〜7月の生産量は、816万2千トンと処理加工業者による生産調整
の実施から、前年同期比1.2%増とわずかな伸びにとどまっている。

 こうした需給状況を反映して、冷凍鶏肉在庫は、2000年6月以降おおむね前年
同月を下回って推移しており、5月末現在では、前年同月比18.6%減の30万4千
トンとなった。

◇図:冷凍鶏肉在庫量の推移◇


2001年平均では約5%高の見込み

 USDAによると、2001年平均のブロイラー(丸どり)卸売価格は、前年比5.0%
高の58〜60セント/ポンド(約161円〜167円/s)と見込まれている。今後は、
生産量の伸びがどこまで押さえられるか、ロシアや香港への輸出量がどのくら
い増加するかにより上昇度合いが左右されるが、価格の上昇傾向は継続するも
のと見られる。

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