◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、2000/01年度(7〜6月)の生乳生産量は、前 年度比2.7%減の1,055万6,300キロリットルと89/90年度以来、11年ぶりに前年 度を下回った。月別の生乳生産が前年同月比でマイナスとなったのは2000年10月 から2001年4月までで、2001年5月以降は前年を上回ったものの搾乳シーズンを 過ぎてからの回復であったため、年間の生産量に影響を与えるには至らなかった。 ◇図:生乳生産量の推移◇
豪州の生乳生産の約6割を占め、加工原料乳仕向けが中心になっているビクト リア(VIC)州の2000/01年度の生乳生産は、前年度比1.1%減の679万2,300キ ロリットルと他の州と比べて減少率は低かった。この減少はVIC州西部の厳しい 干ばつの影響によるもので、干ばつから回復した4月以降にかなりの生産を行っ たが、前年度を下回る結果となった。 一方、飲用乳仕向けが中心となっているニューサウスウェールズ(NSW)州、 クインズランド(QLD)州および西オーストラリア(WA)州の生乳生産量は、そ れぞれ前年度比4.7%、10.4%、6.3%と大幅な減少になっている。この減少は、 2000年7月に行われた酪農乳業の規制撤廃により、生産者乳価の下落した地域で 離農が進んだことが要因のひとつといえる。 ◇図:生乳生産の州別減少率(2000/01年度)◇
生乳生産は前年度よりも落ち込んだものの、海外市場からの豪州産乳製品に対 する需要は強まっている。VIC州を拠点とした乳業メーカーでは先ごろ、2001/ 02年度の生産者乳価見込みについて前年度よりも25〜29%高と記録的な高値を発 表した。この生産者乳価は今後市況に合わせて変動していくものの、2000/01年 度に引き続き高値となる可能性が高い。VIC州の酪農生産者連盟(UDV)では、生 産者乳価が高値となるのは乳製品輸出の高収益が生産者乳価に反映されるためと みている。 これまでは生乳生産の増加と海外市場からの強い需要を背景に拡大の一途をた どってきた豪州酪農乳業界であるが、規制撤廃に加えて豪州・ニュージーランド 間での業界再編も進んでいることから、一層のグローバル化が進むものと考えら れる。海外市場からの需要に追いつくだけの生乳が供給できるのか、今後の生乳 生産動向が注目される。
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